生理前、仕事や生活に支障が出るほど眠い・だるいのはなぜ? 生理前の異常な眠気の原因、対策や治し方について解説【医師監修】
「生理前になると眠くてたまらない」と感じたことはありませんか?
生理前の眠気に悩まされている方に、生理前に眠くなる原因とその対処法についてご紹介します。
目次
1.異常に眠い…だるい…生理前に感じる眠気の原因・理由
・ホルモンバランスの変化と『アロプレグナノロン』
・夜間の眠りが浅くなる
2.眠くなりやすいのはいつから?
・排卵後~生理直前までが眠くなりやすい
3.妊娠の可能性はある?
・妊娠超初期症状を確認
4.ひどい眠気を覚ますには? 基本は寝た方が良い! 良い対処方 悪い対処方
・可能であれば基本は無理せず休む、お昼寝する
・自宅で眠気を感じた時の対処方
・市販の眠気覚ましの薬やコーヒーなどでカフェインを取っても良いの?
5.勉強に集中できない…受験生にとっても辛い生理前の眠気
6.あまりにもひどい時は産婦人科へ相談を
・PMS(月経前症候群)
・PMDD(月経前不快気分障害)
・薬の処方や生活指導・カウンセリングを受けられる
7.眠いのに寝られない 生理前の不眠の症状
・日中眠い、疲れているのに夜寝られないこともある
・睡眠薬は飲んでも良い?
8.眠気の他にもだるさやイライラ、吐き気などよくある症状
9.生理前の眠気についてのまとめ
この記事の監修医師
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山中 智哉 先生
1998年、山梨医科大学(現山梨大学)医学部卒業
2002年、同大学大学院卒業
2004年、NTT東日本関東病院
2014年、六本木レディースクリニック
現在、麻布モンテアールレディースクリニック院長として、不妊治療・婦人科診療に従事。
医学博士
日本産科婦人科学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
麻布十番駅徒歩3分/六本木ヒルズ徒歩5分「麻布モンテアール レディースクリニック」。私たちは患者様の負担をできる限り軽減しながら妊娠へと導いて参ります。完全予約制で夜間・土日祝の診療も行い、働きながら不妊治療を受けられる方のサポートにも力を入れています。
異常に眠い…だるい…生理前に感じる眠気の原因・理由
生理前に眠くなってしまうのには、理由があります。生理前に眠気が起こる原因には、次のようなものがあります。
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ホルモンバランスの変化と『アロプレグナノロン』
生理前の眠気には、女性ホルモンの変化が大きく関係しています。
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、生理が始まってから排卵まではエストロゲンが増加し、排卵後から生理前まではプロゲステロンが増加するようになっています。
生理前に増加するプロゲステロンは、分解されると眠気を起こす原因であるアロプレグナノロンを生じるため、生理前に強い眠気を感じるようになってしまいます。
またプロゲステロンには基礎体温を高くする働きがあるため、日中に眠くなりやすいともいわれています。
夜間の眠りが浅くなる
生理前になると、日中だけでなく夜間の睡眠リズムにも変化が現れます。
人間のからだは、眠りに入るときに体温が下がるようになっています。けれど生理前は体温が高い状態になっているため、うまく体温を調整することができません。
そのせいで、眠いのになかなか寝付けないようになってしまいます。
また眠りも浅くなるため、寝ても熟睡感が得られず日中に眠くなることが増えてしまいます。
眠くなりやすいのはいつから?
生理前の眠気とうまく付き合うには、いつ眠くなるのかを知ることが大切です。眠くなりやすい期間は次の通りです。
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排卵後~生理直前までが眠くなりやすい
眠くなりやすいのは、プロゲステロンの分泌が盛んになる排卵後から生理直前の期間です。
眠気には個人差があるため、いつ眠くなるのか、どれくらい強い眠気が起きるのか、夜間の寝つきと熟睡状態などを、生理周期に合わせてチェックするのがおすすめです。これらを確認することで、自分の生理と睡眠のサイクルを知ることができます。
基礎体温表をつけると、より詳しく確認することができます。
妊娠の可能性はある?
眠気が続くと、「妊娠しているせいで眠いのでは?」と思う方もいるはず。
代表的な妊娠超初期症状について、ご紹介します。
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妊娠超初期症状を確認
妊娠がはっきりとしない妊娠超初期(妊娠4~5週ごろ)にも、体の変化が現れることがあります。
そのひとつが、眠気と倦怠感です。
そのため生理前で眠いのか、妊娠超初期の症状で眠いのか迷ってしまう方もいるかもしれません。
他の妊娠超初期症状には、着床出血、腹痛、腰痛、頭痛、胸の張り、下痢・便秘などがあります。
しかしこれらも生理前に現れることのある症状なため、妊娠超初期症状かどうかを判断するのは困難です。妊娠した可能性がある場合には、そのことを念頭に置いて眠気に対処するようにしましょう。
ひどい眠気を覚ますには? 基本は寝た方が良い! 良い対処方・悪い対処方
眠いからといって、日常生活に支障が生じるのは避けたいものです。生理前の眠気とうまく付き合っていく対処法についてご紹介します。
可能であれば基本は無理せず休む、お昼寝する
眠気が強い場合には、思い切って昼寝してしまいましょう。
昼寝は30分以内にし、できるだけ15時までに起きるようにしてください。適度なお昼寝をすることで眠気が和らぎ、日中が過ごしやすくなります。
しかし日中に昼寝をしすぎると、睡眠リズムが乱れて夜間に眠れなくなるため注意しましょう。
生理前の眠気を軽減するには、日ごろから規則正しい生活習慣を心がけ、睡眠リズムを整えておくことも大切です。
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自宅で眠気を感じた時の対処方
自宅で眠気を感じた時には、短時間の昼寝をするのがおすすめです。
適度な昼寝をすることで、頭がすっきりとして眠気が和らぐことがあります。昼寝は30分以内にし、15時までには起きるようにしましょう。
他にも、下記のような対処法もあります。自分にあう方法をいろいろ試してみましょう。
・日中に日差しを浴びながら、ストレッチやウォーキングなど軽い運動を行う。
・風呂掃除や階段掃除など、適度に体を動かす家事。
・興味のあるテレビを見たり音楽を聴いたりしてリラックス。
・リフレッシュ系のアロマを使用する。
・洗顔や歯磨きなど普段起床時に行うことをすると、刺激となって頭がすっきりとすることがあります。
仕事場で眠気を感じた時の対処方
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仕事中に強い眠気に襲われると、集中力などが低下して作業の効率が悪くなってしまいます。
眠気が強い時には、休憩時間などを利用して短時間の昼寝をするのがおすすめです。10分昼寝をすることで、頭がすっきりして作業効率が上がることもあります。
昼寝が難しい場合は、休憩時間に外の空気を吸ったり、歯磨きをしたりして気分転換を心がけてください。
リフレッシュ効果のあるラムネやガムなど口にして、眠気を紛らわすこともできます。ラムネやガムを食べる時には、カロリーの摂り過ぎや虫歯に注意しましょう。
単調な作業をしていると眠くなりやすいので、可能であれば時間によって作業の内容を替えるなど工夫してみてください。
生理前の眠気について周りに相談して理解を得られていると、生理前でもスムーズに仕事を進めることができるかもしれません。
市販の眠気覚ましの薬やコーヒーなどでカフェインを取っても良いの?
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眠気を解消するために、眠気覚ましの薬やコーヒーを摂る方も多いことと思います。
眠気覚まし薬やコーヒーに入っているカフェインは眠気を和らげてくれるのに効果的ですが、摂りすぎると健康に支障を与える恐れがあるため注意が必要です。
特に妊娠している可能性のある場合には、摂りすぎないようにしないといけません。
WHOでは、妊娠中のカフェイン摂取は、コーヒー3~4杯までにするべきだとしています。カフェインは、ココア、紅茶、コーラー飲料などにも含まれています。
眠気覚ましの薬を使用する時には、カフェインの含有量をチェックするようにしてください。
勉強に集中できない…受験生にとっても辛い生理前の眠気
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集中して勉強したい受験生にとって、生理前の眠気は大敵です。眠気のせいで思うように勉強できないことから、ストレスを抱えてしまうこともあります。
生理前の眠気とできるだけうまく付き合っていくために、自分の生理周期を把握するようにしましょう。生理前には眠気が強くなると認識したうえで、それでもできる科目や勉強などを計画して実行するのがおすすめです。
どうしても眠い時には短時間の昼寝がとれるよう、いつもより余裕のある日程にしておくといいでしょう。
また一人で対処しようとせず、親や先生など周りの大人に相談することも大切です。
大人のアドバイスを受けることで、悩みが軽減されることもあります。産婦人科に相談して医学的に解決することもできるため、一人で悩まないでくださいね。
あまりにもひどい時は産婦人科へ相談を
生理前の眠気がひどくて日常生活に支障が出るような場合には、産婦人科に相談するのがおすすめです。
生理前に現れる主な症状には、以下のようなものがあります。
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PMS(月経前症候群)
PMSの主な身体症状には、腹痛、お腹の張り、乳房の張り、腰痛、頭痛、むくみなどがあります。
また自律神経症状として、めまい、倦怠感、のぼせ、食欲不振、過食などが現れることがあります。
精神症状には、眠気、睡眠障害、集中力の低下、イライラ、抑うつ、不安、情緒不安定などがあげられます。
これらの症状は生理の3~10日前に起こることが多く、生理が始まると症状が落ち着くのが特徴です。
PMSが起こる原因ははっきりとわかっていませんが、ホルモンバランスの変動が原因ではないかといわれています。また生活習慣やストレスなども影響しているといわれています。
PMDD(月経前不快気分障害)
PMDDは、PMSの精神症状が主な症状であり、さらに症状が強いものをいいます。そのため、学校生活や社会生活に支障が生じたり、人間関係に問題が起こったりしてしまうことがあります。
PMDDもPMSと同じように、生理が始まると症状が落ち着きます。
薬の処方や生活指導・カウンセリングを受けられる
PMDD、PMSはつらいものなので、産婦人科へ相談することをお勧めします。
産婦人科では、カウンセリング、生活指導、薬による治療などを行っています。
腹痛などを抑える鎮痛剤、排卵をコントロールする薬など、適した薬を処方してもらうことができます。漢方による治療を行っている産婦人科もあります。
産婦人科を受診することで、毎月の不快な症状を軽減することができます。
「生理の不快感ぐらいで病院は大げさなこと」では、決してありません。無理をせず、相談をしてみましょう。
眠いのに寝られない 生理前の不眠の症状
日中は眠気と戦っているのに、いざ寝ようとすると眠れない…。生理前の不眠にについてご紹介します。
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日中眠い、疲れているのに夜寝られないこともある
生理前はホルモンバランスの関係で眠くなりますが、それにも関わらず不眠になってしまうことがあります。
その原因が、ホルモンによる体温の変化です。
入眠時には体の体温が下がるようになっているのですが、生理前はプロゲステロンの影響で基礎体温が高くなっているため、体温が下がりにくく寝つきが悪くなってしまいます。
そのせいで、疲れているのに眠れない状態となってしまいます。布団の中で眠りたいのに眠れない時間を過ごすと、イライラしてさらに目が覚めてしまうこともあります。
睡眠薬は飲んでも良い?
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きちんと睡眠がとれないと翌日にも支障が出てしまうため、なんとか対処したいことと思います。
眠る前には、できるだけリラックスして過ごすようにしましょう。
湯船につかったり、軽いストレッチなどをしたりするのもおすすめです。眠れないのに無理に眠ろうとするとイライラしてしまうため、思い切って布団から出て読書などをしてゆっくり過ごすのもひとつの手です。
また起床時や日中に朝日を浴び、夜間は照明を弱くするなどすると、体内時計が整って睡眠をとりやすくなります。
それでも不眠に悩まされている場合には、睡眠薬を検討するのもおすすめです。睡眠薬にはいろいろな種類があるため、医療機関を受診して自分に最適なものを処方してもらいましょう。
眠気の他にもだるさやイライラ、吐き気などよくある症状
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生理前には、眠気だけでなくいろいろな不快な症状が現れることがあります。
主な症状には、腹痛、腰痛、頭痛、イライラ、睡眠障害、倦怠感、集中力の低下、食欲不振・過食などがあり、これらの症状には個人差があります。
月経のある日本人のうち、約7~8割は生理前になると何らかの症状を経験するといわれています。
生理前に不快な症状が現れる人は多いため、周りに相談して情報を交換するのもおすすめです。
生理前の眠気についてのまとめ
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生理前になるとホルモンバランスの変動などから、どうしても眠くなってしまいます。
眠気が強くてつらい時には、無理せず休息をとりましょう。短時間のお昼寝をするのもおすすめです。
自分の生理周期と眠くなる期間を把握しておくと、それに合わせて予定を組むことができます。
また生理前の眠気を軽減するには、日ごろから規則正しい生活を送り、睡眠リズムを整えることが効果的です。
生理前の眠気にお悩みの場合には、産婦人科に相談するのもおすすめです。産婦人科では、カウンセリングや内服治療などを行っており、生理前の眠気に対処してもらうことができます。
生理前の眠気とできるだけうまく付き合っていけるよう、いろいろ工夫してみましょう。
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