イタリアでも、ほんの1ヶ月までは日常のワンシーンだった・・・早く戻って来て欲しい、バール&カフェでくつろぐ大切な時間
バールやカフェに集い、馴染みのバリスタに挨拶。友人知人とお喋りに花を咲かせ、新聞に目を通し、美味しいコルネット(クロワッサン)とカプチーノを味わう・・・。イタリア人のライフスタイルに必要不可欠なバール&カフェ。そんな日常がどれだけ大事でかけがえのないことだったのか、今イタリアでは皆がひしひしと感じています。
「日常」が「日常」でなくなった
新型コロナウイルス感染防止のため、全土で3週間以上、基本外出厳禁・移動制限措置が続くイタリア。3月25日時点で、感染者累計74,386人(うち完治が9,362人)、死亡数7,503件。4日連続で新たな感染者数はほんの少しずつ減少してはいますが、北部ではまだまだ重症者・死亡者が多く予断を許さない状況です。
今も感染症と文字通り戦っている北部の封鎖地域の惨状は、ニュースで見聞きするだけでも辛くなりますし、これ以上感染を広めないため、医療崩壊を防ぐため、自宅待機もやむを得ないことと分かってはいます。
居住するローマでは、感染が拡大する前に移動制限が始まったので、北部のような非常事態にはなっていません。しかし、スーパーへ買い物に行くときなどの数少ない外出時に、行きつけのバールやカフェがどこも閉まっているのを見るだけでもとても悲しいことです。
イタリア人にとってのバール&カフェとは・・・
7:00~ コラツィオーネ(朝食)
朝食を自宅でなく、バールやカフェでとる人が多いのがイタリア。
お気に入りのコルネット(クロワッサン)やドーナツとカプチーノをオーダーし、備え付けの朝刊をチェックすることもできます。
10:30~ パウザ・カッフェ(コーヒーブレイク)
ビジネスマンも、学校の先生も、お店のスタッフも、定年退職したご老人も、10時頃にはバールで一休み。持ち場を離れられない人はエスプレッソコーヒーの「出前」もOK! ランチは13時過ぎてからなので、このちょっとした休憩はとっても大事なんです。
13:00~ プランツォ(昼食)
昼食時には、生ハムやモッツァレラチーズのパニーノ、トラメッツィーノ(サンドイッチ)はもちろん温かいパスタやサラダ類も揃います。テイクアウトもカウンターで立ちながらのイートインも可。
16:00~ フェスタ・ディ・コンプレアンノ(お誕生日パーティ)
午後には、学生が集まって勉強会をしたり、年配のグループがトランプやチェスに興じたり。カフェやバールを貸切りにして子どものお誕生日パーティを開催することもあります。幼稚園くらいの子が遊べるプレイスペース付きのバールも流行っています。
19:00~ アペリティーヴォ
夕方には、ディナー前に食前酒(アペリティーヴォ)を1杯。カウンターに豊富なおつまみを用意してくれるところもあります。
23:00~ 食後のエスプレッソ&リキュール
レストランでのディナーは早くて20時~。21時過ぎてから食べ始める人も多いのがイタリア。食後には、エスプレッソコーヒーや食後酒(ディジェスティーヴォ)をひっかけるため帰宅前にバールに立ち寄ることも。
新型コロナウイルス感染拡大の理由のひとつ
イタリアで新型コロナウイルスが急激かつ爆発的に広まってしまった理由としては、少子高齢化社会であり無症状の若者~中年世代が高齢者にうつしてしまったこと、元々の医療従事者や設備の不足、マスクを付けたりうがいをしたりする習慣がない、など色々な原因があると言われています。
さらに、そのひとつとして、バールやカフェに集まってスキンシップを欠かさないイタリア人のライフスタイルも指摘されています。
イタリア人はキスやハグをよくするし、会話しながら相手の体に触れることもある。仕事が終わったら、友人とバーに行ったり、ビュッフェスタイルの食事をしたりして、人と一緒に時間を過ごすことが多い。相手との距離が近いことが感染拡大に影響した可能性がある
出典:www.google.com
こうしたスキンシップは、親愛の情を惜しげもなく表現し交流を深めるラテンなイタリア人の美徳だと思います(生粋の日本人である私自身は自然に出来ないこともありますが)。老若男女問わず昔から続けられているこのライフスタイルを変えなければならない現状は、イタリア人にとってとても辛いことでしょう。
少しでも早くウイルスが終息するのを祈るのはもちろんですが、多くの人が大切な家族や友人を亡くし、経済的にも大打撃を受けたイタリアはこれから、立ち直るまでに大きな困難の時期を乗り越えなければなりません。
またバールやカフェで皆が集まり、のどかな時間を過ごせるようになる日が少しでも早く訪れるのを切望しています。
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