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妊娠初期の腹痛の特徴と原因、注意すべき痛みとは? 流産の可能性や対処法について【助産師監修】

妊娠初期の腹痛の特徴と原因、注意すべき痛みとは? 流産の可能性や対処法について【助産師監修】
妊娠初期によくあると言われる「腹痛」。よくあるとは聞くけれどもやっぱり大丈夫なのかと心配になるものです。 その妊娠初期の腹痛について、痛みの特徴や、心配のないものから流産の可能性まで、さまざまな腹痛についてまとめてみました。
妊娠初期の腹痛の特徴と原因、注意すべき痛みとは? 流産の可能性や対処法について【助産師監修】

目次

1.妊娠初期の腹痛チェックポイント 2.一般的な妊娠初期の腹痛の特徴  ・痛みの特徴 3.妊娠初期の痛みはいつからいつまで? 4.生理痛との違い 5.腰痛が現れる人もいる 6.妊娠初期の腹痛の主な原因 子宮・卵巣の変化、便秘や下痢  ・子宮が大きくなる  ・卵巣が腫れる  ・便秘・下痢 7.対処法  ・やってはいけないこと 8.腹痛がない場合 9.【医師に相談】注意すべき妊娠初期の腹痛 ズキズキとした痛みなど  ・注意すべき痛みの特徴や症状  ・流産の可能性  ・子宮外妊娠、絨毛膜下血腫の可能性  ・注意すべき痛みの対処法 10.まとめ

この記事の監修助産師

河井 恵美 先生 看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務、25年以上助産師を務める。 青年海外協力隊でアフリカに赴任、国際保健医療を学ぶために大学院に進学、修了。 お母さん方へのアドバイスを充実させたいと思い、保育士資格も取得。 現在、シンガポールに住み2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務して日本人の妊産婦さん方に携わる。 インターネットにてエミリオット助産院を開設中。

エミリオット助産院

妊娠初期の腹痛チェックポイント

✓妊娠初期の腹痛は、妊娠による身体の変化で誰にでも起こる可能性があります。 ✓流産や子宮外妊娠などが心配な腹痛もあります。 ✓腹痛がある場合には無理せず休息を取りましょう。 ✓いつもと違う痛み、ひどい痛み、出血を伴う痛みなどの場合には医師に相談しましょう。

一般的な妊娠初期の腹痛の特徴

妊娠初期の腹痛は、妊娠による身体の変化で誰にでも起こる可能性があります。 下記のような症状の場合、しばらく休息して症状がよくなるようであれば、あまり心配する必要はありません。でも、心配になるようなら医師に相談してみてくださいね。

痛みの特徴

【生理痛のような下腹部の鈍い痛み】 妊娠の初期には、子宮の中で劇的な変化がある時期です。生理痛のような鈍い痛みを感じることも珍しくありません。 あまりにも痛い場合は、医師に相談しましょう。 【脚の付け根がつるような痛み】 子宮が大きくなるにつれて、脚の付け根がつるような痛みを感じることがあります。歩くのに支障がなければ様子を見ましょう。 【キュっと引っ張られるような痛み】 心拍が確認されて赤ちゃんがどんどん育っていくと、子宮も大きくなっていきます。 子宮は靭帯に支えられているため、重みが増すと靭帯に負荷がかかり、時々引っ張られるようにおなかが痛むことがあります。 ずっと引っ張られる痛みが続かなければ心配ありません。 【締め付けられるような感覚】 おなかが締め付けられるように痛む場合は、子宮が収縮している可能性があります。何度も感じるようであれば、医師に相談しましょう。 【チクチクと痛む】 おなかがチクチクと痛いと感じる人も多いです。この痛みは、子宮が大きくなってきている痛みだといわれています。 長く続かない場合は、様子を見ても大丈夫でしょう。

妊娠初期の痛みはいつからいつまで?

妊娠初期とは、妊娠16週未満(妊娠4ヶ月まで)をさしています。個人差がありますが、予定の生理が始まる頃から、おなかに違和感や痛みを感じる人がいます。 子宮が大きくなっていく痛みを感じる人もいますが、いつまでという決まりはありません。妊娠中期に入る頃には、腹痛も落ち着いている人が多いです。

生理痛との違い

妊娠初期の腹痛と生理痛は似ていて、区別がつかないことがあります。

腰痛が現れる人もいる

妊娠初期には、腹痛だけでなく腰痛を感じる人もいます。腰が重だるい、痛いなどの症状がある場合は、子宮が原因になっていることがあります。あまりにも腰痛がひどい場合は、医師に相談しましょう。

妊娠初期の腹痛の主な原因 子宮・卵巣の変化、便秘や下痢

子宮が大きくなる

妊娠すると子宮は徐々に大きくなっていきます。赤ちゃんは小さくても羊水や胎盤があり、赤ちゃんと共に胎盤は大きくなり、羊水は増えていきます。 子宮は、靭帯に支えられているため、大きくなって重くなるとその分、靭帯への負担が増して、おなかが痛いと感じることがあります。

卵巣が腫れる

妊娠初期に卵巣が腫れて腹痛を感じる人がいます。多くは、ホルモンの影響で卵巣に液体がたまることによるもので、15〜16週頃までに自然に消えていきます。

便秘・下痢

妊娠初期の下痢や便秘は、普段、腸が丈夫な人でも起こる可能性があります。ホルモンの影響で腸の動きが弱まり、便秘になることがあります。便が腸に長くとどまっていると、水分が腸に吸収されて便が硬くなってガスも発生します。 便がゆっくりと運ばれて排出されると、その勢いで後の便も排出され、下痢と便秘を繰り返す形になる人もいます。 週数が進むにつれておさまってくる人が多いですが、おなかが張って苦しい場合は、医師に相談しましょう。市販の便秘薬や下痢止めがありますが、妊娠初期に飲む場合は医師に相談してからにしましょう。

対処法

腹痛があるときには、次の対処方法を参考にしてください。 ・腹痛がある場合は、安静にして休憩を取る。例えば、外出中なら座ったり荷物を置いたりする。横になれるようなら横になると良い。 ・痛みが引いたり軽くなればそれほど心配はない。 ・痛みが治まらない、激痛や出血などがある場合は、早急に医師に相談する。 ・身体の冷えで腹痛が強くなる場合があるため、身体を温める。 ・辛いものなどの刺激物は避けて、消化の良いものを食べる。

やってはいけないこと

腹痛や下痢などがあっても、自己判断で痛み止めや下痢止めなどの薬を飲まないでおきましょう。妊娠初期は、つわりで胃が痛いこともあります。 その場合も薬を飲んでも良いかは、医師に相談することをおすすめします。

腹痛がない場合

腹痛は妊娠初期に必ずあるものではありません。腹痛がない場合でも、赤い出血や血の塊が出るときには受診しましょう。

【医師に相談】注意すべき妊娠初期の腹痛 ズキズキとした痛みなど

妊娠初期の腹痛はよくある症状です。でも、流産や子宮外妊娠などの可能性もあるため、すべての腹痛が心配ないというわけではありません。この時期に注意が必要な腹痛についてお話します。

注意すべき痛みの特徴や症状

妊娠初期に下記のような痛みがある場合は、医師に相談しましょう。 ・ズキズキと強く痛む ・締め付けられるような痛みが強い ・痛みがずっと続く ・出血を伴う腹痛 いつもと違う痛みや、激痛である場合はすぐに医師に相談。 その他にも、基礎体温が低下する、つわりが急になくなるなどの症状が見られたら要注意です。

流産の可能性

流産は、全妊娠の15%程です。妊娠12週未満では、全流産の80%がこの時期に起こるとされています。(参考文献1・2) 妊娠12週までの流産の原因で最も多いのは、赤ちゃんの染色体などの異常です。 ママがどんなに気をつけていても、どうにもできない場合があります。流産は、「仕事をしていた」「食生活が悪かった」などが原因になることがほとんどありません。どうにもできなかったことは悲しいことですが、自分を責めないでくださいね。

子宮外妊娠、絨毛膜下血腫の可能性

妊娠初期におなかが痛い場合は、子宮外妊娠や絨毛膜下血腫の可能性も考えられます。 【子宮外妊娠】 子宮外妊娠は、子宮以外の場所に受精卵が着床することをいいます。着床する場所によって、卵管妊娠、腹膜妊娠などがあり、すべての妊娠1〜2%に起こるとされています。(参考文献1) 子宮外妊娠は、妊娠を継続することができないため、服薬や手術による治療が必要です。 【絨毛膜下血腫】 絨毛膜下血腫とは、胎盤の絨毛膜と脱落膜の間に血腫ができる病気です。(参考文献1) 頻度は4〜22%とされ、報告によって頻度のばらつきがあります。12週以降の流産の原因となることがあります。妊娠初期にはよく見られることがありますが、血腫が大きい場合や血腫が消失しない場合によっては流産のとなる可能性があります。(参考文献3)

注意すべき痛みの対処法

腹痛があるときには、安静にしましょう。しばらく様子を見てもおさまらない場合は、医師に相談してくださいね。 「いつから」「どんな痛みがあるのか」「出血など他の症状」についてもメモを取っておくと、受診のときにスムーズに説明できます。 また、受診するかどうか迷う場合は、病院に電話をして相談することをおすすめします。 妊娠に関すること、特に妊娠初期には、自分では見えなかったり確認できなかったりすることが多いものです。心配な場合は、一人で悩まずに病院に相談してくださいね。

まとめ

妊娠初期は、身体も心も不安定な時期です。腹痛があるときや体調が良くないときには、無理をしないで休息を取るようにしましょう。 心配な症状があれば、医師に相談することをおすすめします。ママと赤ちゃんが健やかに過ごせるといいですね。
※本記事は妊娠・健康・子育てに役立つ情報提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合には、ご自身の判断により適切な医療機関を受診し、医師にご相談ください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当サイトは責任を負いかねます。

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参考文献

1. メディックメディア「病気が見える Vol.10 産科 第3版」

2. 日本産婦人科医会「流産・切迫流産」

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3. 日本産婦人科医会