間もなく打ち上げ予定!「ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡」って何!? おなじみハッブル宇宙望遠鏡の後継機
2021年9月、新型宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブが地上での試験をすべて完了!12月18日に予定されている打ち上げ地となる南米ギアナ宇宙センターへの輸送準備に入りました。一体どんな望遠鏡なのでしょうか!?
ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡って知ってる?
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、NASA(アメリカ航空宇宙局)と欧州宇宙機関、カナダ宇宙庁の共同プロジェクトで開発した赤外線観測用宇宙望遠鏡です。
名前の由来
1961~68年にNASAの第2代長官ジェイムズ・E・ウェッブ氏にちなんで命名されたものです。彼はアポロ計画の基礎を築くなど、米国の宇宙開発を主導した貢献者で、その功績を称えて新しい望遠鏡に名前が付けられました。
ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡のミッション!
ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡のミッションは主に2つです。
・宇宙の起源の謎を探り、星や惑星、銀河の成り立ちを解明するため、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスターを初観測すること。ファーストスターからの光は波長が引き延ばされ赤外線に変化すると考えられているので、赤外線域で捜索・観測し、ファーストスターを発見することが期待されています。
・搭載する高解像度の赤外線画像センサー&分光器による系外惑星の観測で新たな知見を得ること。
おなじみハッブル宇宙望遠鏡との違いは?
地球からの距離が違う=修理不可
ハッブル望遠鏡は地表から約600kmという比較的低い軌道上を飛行しているため、光学機器が故障してもスペースシャトルで現地へ行って修理可能。一方ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡は地球から150万kmの遠距離(太陽 – 地球のラグランジュ点の1つ、L2)に置かれるため、故障時に修理員を派遣することは事実上不可能だそう。
軽量で高性能
ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡の質量は6.2トンで、ハッブル望遠鏡の約11トンのほぼ半分!一方、ベリリウムを主体とした反射鏡の主鏡の口径は約6.5mでハッブル望遠鏡の2.4mの2.5倍、面積は7倍以上にもなります。このため軽量ながら非常に高い観測性能が期待されています。
度重なる延期を経て・・・最新の予定では12月18日に打ち上げ!
このジェイムズ・ウェッブ望遠鏡は、2010年に観測活動終了予定だったハッブルの後継機として2011年打ち上げが計画されていました。が、開発が遅れ、ハッブルも補修によって延命措置を受けたため、2015年以降に延期されました。
さらにコストが当初の4倍以上になり、打ち上げも再延期され、NASAの中でも計画中止を求める声が上がったことも。
その後各種機器の統合が遅れ、ようやく完成したのが2019年8月。打ち上げは2021年3月30日に予定されましたが、2020年7月には、新型コロナウイルス感染症の流行と技術的な問題が原因でさらに延期。2021年12月18日に打ち上げとなっているのです。
(2021年9月29日現在)
畳んだ状態で打ち上げて宇宙空間で展開!無事の成功を祈りましょう!
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では主鏡・副鏡・サンシールド・太陽電池パネルをすべて畳んだ状態で打ち上げ、宇宙空間で展開する方法が採用
出典:news.yahoo.co.jp
直径6.5mの主鏡や約21m×14mの巨大なサンシールドの展開手順は複雑ですが、地上試験では予定通りの成果を得られたと報道されています。打ち上げでも無事成功しますように!待ち遠しいですね!