世界中から哀悼の声…。名作絵本『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールさん、91歳で死去
世界中で愛された絵本『はらぺこあおむし』の作者であるエリック・カールさんが2021年5月31日に91歳でお亡くなりになられました。
鮮やかな色を使ったコラージュ(貼り絵)は、とても特徴的。「絵本の魔術師」「色の魔術師」と呼ばれたエリック・カールさんの経歴や代表作をご紹介します。
悲しいニュースが入ってきました。『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールさんが5月23日にお亡くなりになりました。91歳でした。
— 偕成社 (@kaiseisha_PR) May 27, 2021
長年親しくさせていただき2017年の来日の際は、会社にお招きし歓迎パーティーをしました。
多くの作品をありがとうございました。安らかにお眠りください。 pic.twitter.com/mxjguhn01u
エリック・カールさんの経歴
エリック・カールさんは、1929年6月25日にニューヨーク州で生まれました。
両親はドイツ人で、1935年6才のときに家族とドイツに移住しています。
アメリカに戻ったのは大学卒業後の1952年23才のときで、絵本作家のレオ・レオニさんの紹介でニューヨーク・タイムズのグラフィックデザイナーになりました。
デビュー作は1967年刊行の「くまさんくまさんなにみてるの?」です。この作品は、ビル・マーチンさん作で、エリック・カールさんは絵を担当しています。
その翌年、1968年には、自らの絵本『1、2、3 どうぶつえんへ』を発表し、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞を受賞。
さらに次の年の1969年には、代表作となる『はらぺこあおむし』を刊行しました。
(もりひさし氏による日本語版は1976年に刊行。)
1985年には初めて来日し、その以降5度日本を訪れています。
2002年、ボストン近郊にエリック・カール絵本美術館を創設。
2003年、ローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞。
2017年、「エリック・カール展」の開催にあわせて来日。
2021年5月23日、マサチューセッツ州の自宅でお亡くなりになりました。
『はらぺこあおむし』翻訳担当・もりひさし氏は、2018年にお亡くなりに…。
『はらぺこあおむし』のユニークな日本語訳を担当したのは「もりひさし」さん。
もりひさしさんは、2018年11月9日に101歳でお亡くなりになっています。
ちなみにもりさんは、こぐま社の絵本『こぐまちゃんシリーズ』の企画立ち上げや共著でも有名な方なんですよ。
エリック・カールさんの代表作!『はらぺこあおむし』
エリック・カールさんといえば、代表作『はらぺこあおむし』です。
小さなたまごから生まれたあおむしが、立派な蝶になるまでを描いた絵本で、60以上の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部にという大ヒットを記録しています。
初めて読んだのがこの絵本だったという人も多いのではないでしょうか。
うちの子もはらぺこあおむしは大好きでした。2才のときに保育園で読んでもらってからハマって何度も何度も読んだので、ボロボロになったほどです。
破れるほど読んだのはこの本だけだったので、とても印象に残っている1冊です。
鮮やかな色彩で、あおむしが食べたところは穴がいているというしかけ。最後には大きな蝶になるというワクワクするストーリーに、子どもは夢中になっていました♪
『はらぺこあおむし』は、21歳離れた妹・クリスタさんのためにかいた絵本
『はらぺこあおむし』の本をめくると「このえほんを いもうとの クリスタに」というメッセージが。
何歳のときに描いた絵本なんだろう…?と、不思議に思っていた方もいるかもしれません。
実は、妹のクリスタさんとの年の差はなんと、21歳!
妹のために絵本をだなんて、クリスタさんのことがよほど愛おしかったんでしょうね。優しいお兄さんだとわかる、素敵なエピソードです。
ちなみにエリック・カールさんは、奥様のボビーさんとの間に2人のお子さん(娘さんと息子さん)がいらっしゃいます。
お子さんたちも『はらぺこあおむし』を読んで育ったのでしょうか…!?
『はらぺこあおむし』刊行には、日本の技術力が不可欠だった!?
今や世界中の子どもたちに愛読されている『はらぺこあおむし』ですが、1969年にアメリカで刊行された版を印刷・製造していたのは、日本の会社であることはご存知でしたか?
『はらぺこあおむし』で特徴的なのは、ページのサイズがバラバラだったり、穴があいていたり、と凝ったデザイン。
当時、本国アメリカでこの制作デザインを受けてくれる会社が見つかりませんでした。
そこで当時の編集担当者が見つけてきたのが、日本の出版社である偕成社。
絵本の内容に惚れ込んだ当時の社長・今村廣さんが印刷・製本の交渉を一手に引き受け、世界で初めて『はらぺこあおむし』が刊行されたんだとか。
現在でも、日本国内で発売されている『はらぺこあおむし』の絵本は、偕成社から刊行されています。
父の愛を感じる『パパ、お月さまとって!』
この絵本は、娘がパパに「お月さまとって!」とお願いするストーリーです。
難しい娘のお願いに、パパは月まで届く長いはしごを持ってきます。ファンタジーな内容で、子どもの夢がふくらむお話です。
エリック・カールさんならではの“はしごのしかけ”もおもしろかったです。
月の満ち欠けを知るきっかけにもなりますね♪
エリック・カールさんに感謝の声
エリック・カールさんの死はとてもおどろきました。
もう新しい作品が見られないのは残念ですが、たくさんのすてきな作品を遺してくれてたことへの感謝の言葉が多く、絵本とともに愛された絵本作家さんだったんだなあと感じました。
SNSなどには、感謝と哀悼の気持ちを伝える投稿が相次ぎました。
・残された作品をこれからも楽しんでいきます。たくさんの愛すべき作品をありがとうございました。
・こどもたちの大好きな絵本たち。これからも大切に読み継いでいきます。
・これからも変わらずこの作品を愛し、次の世代にも残していきたいです。
・数々の素敵な作品。子どもたちとその世界観をいつまでも感じていきたいと思います!
・カラフルで、力強くて、やさしくて、楽しくて、たくさんのものをもらいました。
ありがとうございました。
はらぺこあおむしをはじめ、エリック・カールさんの作品はこれからもずっと世界中で愛され続けると思います。
たくさん楽しませてくれて、子どもを笑顔にしてくれてありがとうございました。
来歴やカールさんへのQ&Aなど
2019年に出版から50周年を迎えた絵本「はらぺこあおむし」(原題:The Very Hungry Caterpillar)の50周年記念サイトです。様々な記念のイベントやグッズ販売情報を掲載します。
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