イタリア流子育てで、自己肯定感の高い子どもに!
言葉で、しぐさで、愛情表現を伝えるラテン民族代表イタリア人。
シャイなイタリア人、寡黙なイタリア人もいるにはいるのですが、親から子へ、代々伝えられてきた感情表現の豊かさは憧れるものがあります。
あふれんばかりの愛情を子どもに注ぎ、褒めちぎるのです。
ところで最近、「自己肯定感」という子育てに重要なポイントをよく見聞きしますがご存知ですか?
自己肯定感とは、自分は生きる価値がある、誰かに必要とされていると、自らの価値や存在意義を肯定できる感情のことをいいます。自分の良いところも悪いところも含めて肯定できる、前向きな感情ともいえます。
出典:192abc.com
自己肯定感は0歳~6歳までの未就学児の間に土台が形成されますが、特に親の接し方が重要です。意識したいポイントは2つあり、子供に「愛されているんだ!という実感を持たせる」ことと、「やればできるんだ!という自信を持たせる」ことです。
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そう、まさにイタリア人の親の接し方がこれなんです!!!
自己肯定感の高い子供は、自分に自信があり、何事にも挑戦していく強い心を持っています。「折れない心」ともいえますね。また、自己肯定感があると心に余裕があり、人に優しく親切に接することができるので、多くの人が周りに集まり、支えられて生きていく方が多い傾向にあります。
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確かに、イタリア人はたいていポジティブ&楽天的。
多くの子どもたちも(大人も)伸び伸びしていて、人と人とのつながりが濃密です。
そこで、なるべくして「自己肯定感」の高い子どもが育つ、イタリア流子育てをABCでまとめてみました!
イタリア流子育ての極意”A” – Amore Mio
Amore Mio(アモーレ・ミオ)とは、英語にするならマイ・ラブ♡
イタリア人は1000人いたら1000人、この愛称を使わない人はいません。
パパママ同士でももちろん使うのですが、子どもに対してこう呼びかけるのです。
このアモーレ・ミオ。
親から子だけでなく、おじいちゃん&おばあちゃん、おじさん&おばさん、いとこはとこ、さらには近所のおじさんおばさんからスーパーのレジのお姉さん、魚屋さんから肉屋さん、通りすがりの知らないご老人にいたるまで、子どもを呼びかけるとき必ず使います。
日本に次いで少子化問題が深刻なイタリア。生まれてくる子は親戚一同、ひいては社会全体の愛を一身に受けて育つという感じ。
叱っていてもやっぱりアモーレ・ミオ。
遠くからもアモーレ・ミオ(お遊戯会で誰かのパパかママがこれをやると、子どもみんなが振り返るという・・・)
日本語には直訳できない文化に根付いた表現です。
さらにこの他にも、日本語では歯の浮くような愛情たっぷりの愛称があふれかえっています。
・Tesoro mio(テゾーロ・ミオ) 私の宝物
・Gioia mia(ジョイア・ミア) 私の喜び
・Principe(プリンチペ)/ Principessa(プリンチペッサ) 王子様/お姫様
・Dolcezza mia(ドルチェッツァ・ミア) マイ・スイート
Etc etc…
日常的に使っているので、いちいち深い意味を考えず口に出る言葉なのですが、小さなころからこんな風に呼ばれて育てば、そりゃあカワイイカワイイ子に育つだろうなと時に客観的に関心してしまいます。
そして愛称と同じ頻度で使うのが、「愛してるよ」「大好きだよ」のセリフ、Ti voglio bene(ティ・ヴォリオ・ベーネ)。
これもカップルでも使いますが、パパママは事あるごとに子どもに向かってティ・ヴォリオ・ベーネ。
朝学校へ送り出す時、迎えに行ったとき、道を歩いているとき、買い物先で、食事時、子どもが何かしてくれたとき、電話で話すとき、寝る前…。家の外でもはばからずにティ・ヴォリオ・ベーネです。
イタリア流子育ての極意”B” – Baci e Abbracci
Baci e Abbracci(バーチ・エ・アッブラッチ)とは、よくセットで言われるのですが、キス&ハグのこと。
ラテンなイタリア人は、大人でも友だち同士・同僚同士などで挨拶代わりにほっぺたに軽くキスをしたり、ハグをしたりします。
ましてや親子なら、抱きしめたりキスをしたり、家庭内ではもちろん外でもこうしたスキンシップがごくごく当たり前。
学校に送りに行って別れるときにもほっぺにチュッ。
あなたが大事、の大好きギューーー。
Selina – イタリア人の家族は、あなたが世界で一番大事と相手に感じさせる術を持っている。私も子どもたちにそう感じてもらいたいの。(Raising kids the Italian way. Good, bad, indifferent? You be the judge – イタリア式子育て。いい?悪い?変わらない?判断はあなた次第)
出典:selinapetosa.com
子どもが小さい頃はもちろん、10代になっても、成人しても、ほっぺにチュッは変わりません。
その結果、Mammone(マンモーネ:マザコン)、Pappone(パッポーネ:ファザコン)と揶揄されるほど親に対して愛情豊かな子どもたちが育ちます。
こうやって親子の絆が形成されていくんですね。
私が2年ぶりに帰国して、両親と久々に再会したときに、普通に「久しぶり~」と挨拶”だけ”したのを見てイタリア人の主人は絶句していました。
キスもハグも無い!!! と…。
イタリア流子育ての極意”C” – Complimenti
Complimenti(コンプリメンティ)とは、賛辞のこと。
イタリア人は、とにかく子どもを褒めます。褒めて褒めて延ばすのです。
どんなことでも何かできたら「Bravo!スゴイ!」
出来なくっても「挑戦したね、エライね」
何にもなくっても「なんてカワイイの!」
極意AとBのアモーレ・ミオとキス&ハグを駆使して、パワー全開で褒めたたえます。
頑張った過程を認め、しっかりと褒めてあげることも大切です。そうすることで、親が自分の頑張りを見てくれているのだと安心し、自信につながります。
出典:192abc.com
もう一つ、日本とは大きく違うと感じる点は、他人に対しても自分の子を褒めまくる!
ウチの子すごいでしょ、カワイイでしょ、ハイハイ出来るようになったの、昨日こんなこと言ったのよ、… と子どもの話になるとエンドレス。
いつだったか同僚のイタリア人たちに「日本では謙遜表現として、本人を前にしても『愚息』という言い方がある」と教えたところ、「そりゃ虐待だ」とバッサリ。
もちろん、ママ友同士の話の中で「まだ夜のオムツが取れなくてねーお宅はどう?」「まだ数が数えられないのよー」なんて会話になったりはしますが、子ども本人の前でその子を否定するような言い方はあり得ません!
自分の子供を「カワイイ、カワイイ、家の子は本当にカワイイ!」と、ところかまわず、だれ彼かまわず、自慢して、抱きしめてキスして、もうベタベタ。
出典:allabout.co.jp
言葉が分からないまだ乳幼児期であっても、それは同じ。
言葉がわからないときこそ、感情がダイレクトに伝わるもの。自分の存在を肯定的に受け止められている感覚は、特に幼児期には必要
出典:allabout.co.jp
なんです。
小さなことでも相手の良いところを見つけて、それを思いきり褒める。
甘やかす、我がまま放題にする、というのとは違います。
そのためにはその子をよく知りよく観察していないとできません。
イタリアのパパママは、それだけ長い時間を子どもと一緒に過ごしているということです。
我が子自慢は誰にも負けないイタリア人ですが、他人のお子さんだってしょっちゅう褒めてます。
子どもを連れて公園に行けば、他のパパママからウチの子どもに対しても、
「まー なんてカワイイ!」
「いい子だねー お片付けできるの!」
「ちゃんとお礼が言えて凄いね~」
「お、走るの早い早い!」
と称賛の嵐。
もちろんこちらも相手のお子さんを褒めちぎります。
…といっても、褒め慣れていないとこれがけっこう難しい!
自分自身に自信があると、相手のことも誉めてあげる余裕がでてきます。
そんなイタリア人はとっても誉め上手。
出典:allabout.co.jp
ここから会話が始まり、親同士もお互い気持ちよくお付き合いができますし、他のお母さん・お父さんに褒められた子どもたちも鼻高々。
それを見たパパママはさらに嬉しくなるという相乗効果ですよね。
おのずとABCを実践できる社会環境
以上ABC、でまとめたイタリア流子育て。
これが自然と出来るのは、家庭内だけでなく、社会全体で子どもを大切に大事にかわいがる文化が根付いているからだと思います。
まさに国民性。このイタリア社会については私のような日本人からみて違うなぁというだけではありません。
アメリカ人やカナダ人、イギリス人など、世界でも多くの人々がイタリア流子育てに注目しています。
Julie Christensen – イタリアでの生活はマルチジェネラル=多年代。子どもと両親、ティーン、祖父母までみんながともに生活し、働いています。あらゆる年齢の子どもたちがショップやレストランで歓迎され、お店の人やウェイターたちまで子どもたちと嬉しそうに会話を楽しみます。(Italian Parents: 7 Secrets for Close-Knit Families – イタリアの両親:強い家族の絆を作る7つの秘密)
出典:www.education.com
私も、子連れで買い物に行くと、レジのおばさんがいつも息子にオマケのチョコレートや景品のお皿をプレゼントしてくれるので、恐縮しきり。
顔なじみのお肉屋さんでもキャンディーをくれたり、バールでちっちゃなおもちゃをもらったり…
でも、彼らにとっては「サービスしている」という意識はなく、もう自然と「ボクいい子だねーもうこれあげちゃう♪」くらいの感覚のよう。
JEANNIE MARSHALL – 子どもたちはイタリア社会の中でポジティブで不可欠な一部なんです。(What the Italians can teach us about child-rearing – 子育てについてイタリア人が教えてくれること)
出典:www.theglobeandmail.com
私は在伊9年になりますが、まだまだまだまだ未熟です。
子どもへの愛情を言葉としぐさでちゃんと伝えられているのか?
いっぱいいっぱい褒めてあげられているのか?
もちろん文化や習慣の違いもありますが、それを差し引いても、世界共通で育児で大事なことですよね。
我が息子4才は、臆面もなく「お母さんボクだーい好き♡」「ママきれいだね」と言ってくれるようになりました。
これぞ母親冥利に尽きるってもんです。
すでにイタリアンな魂を受け継いでいる彼に負けないよう、オーバーなくらいの愛情表現を心がけたいと思います。