この記事の監修医師
大阪美容クリニック 理事長
祖父や父が産婦人科医であったことから、自身も大阪医科大学医学部卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。主に、腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。
女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、さらなる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。
目次
危険日とは妊娠しやすい時期
妊娠を望まない人にとって、妊娠しやすい時期を俗に「危険日」と言います。一方、妊活中の人、妊娠を望む人にとっては妊娠の可能性の高い重要な時期でもあります。
危険日は、「排卵日」の5日前から、排卵が終わった後の1日の数日間のことと言われています。
妊娠の可能性が高いという意味で使われますが、この時期を避けたからと言って妊娠の可能性を否定するものではありません。
排卵日とは排卵が起こる日のこと。排卵とは卵巣から卵子が飛び出し、卵管に入って受精を待つことを指し、排卵から約14日後に生理が始まると言われています。排卵日を知ることは危険日の予測だけではなく、自身の生理周期を知ることにもなり体調管理にも繋がります。
卵子は排卵から約24時間生きていると言われますが、受精能力がある時間はこれよりもさらに短く、約10時間とも言われています。
一方、精子が膣内で生きている日数は2〜5日と言われているため、排卵日の約5日前から排卵が終わった後1日までが危険日と言われ、特に排卵1〜2日前のセックスは妊娠の確率が高いとされます。
しかし、排卵日を確実に特定することは難しく、さらに精子は1週間程度生きることもあると言われているため、危険日を避けたとしても妊娠の可能性はあります。
安全日とは? 「安全日はない」と考える。
「危険日」に対して、妊娠しにくい時期は「安全日」と呼ばれていますが、危険日を避けたからと言って、妊娠の可能性が否定できるわけではありません。
「安全日はない」と考え、妊娠を望まないのであれば、危険日かそうでないかに関わらずしっかりと避妊を行いましょう。
危険日はいつ? 計算方法は?
危険日は「排卵日」の5日前から、排卵が終わった後の1日の数日間のことと言われていますが、具体的にはどのように把握するのでしょうか。計算方法を見ていきましょう。
①生理周期を把握する
②生理が始まった日と生理周期から排卵日を予測する
③排卵日から危険日を予測する
④基礎体温や排卵検査薬もあわせてチェックして精度を上げる
生理周期(月経周期とも言う)とは、生理の始まりから次の生理の始まりまでの周期を言います。
正常な周期は25日〜38日程度で、順調な生理期間は3〜7日間と言われていますが、個人差があり、ストレスやホルモンバランスで変化します。
自身の生理周期を把握するには、生理の始まった日を1日目として、次の生理の始まりまでの日数を記録します。生理が始まった日から30日後に次の生理が始まったら、生理周期は30日です。ただし、最低でも3ヶ月間分は記録してみて、自身の生理周期が正常な周期か把握しましょう。カレンダーやアプリで管理するのが良いでしょう。
もし、生理周期が月ごとに変化していれば、排卵日も変化しているということなので、危険日(妊娠しやすい時期)の推測は難しくなります。妊娠を望まないのであれば危険日と思われる時期に限らず、しっかり避妊をしましょう。
排卵日は生理が始まった日の約14日前と言われています。(個人差、体調などによっても変化します)
そのため生理周期が30日の場合、逆算して生理が始まった日から排卵日まではおよそ16日目と予測できます。生理周期が29日の場合はおよそ15日、生理周期が28日の場合はおよそ14日という予測ができます。
予測された排卵日の前5日、排卵日から1日が危険日(妊娠しやすい時期)と言われています。妊娠を望んでいないのであればこの時期は特に避妊を気をつける必要があると言えるでしょう。また前述の通り排卵日がずれることもあるため絶対ではありません。
生理周期、生理が始まる日からの予測だけではなく、基礎体温の変化や排卵検査薬などもあわせてチェックすることで、より深く自身の状況を知ることが出来ます。
基礎体温の測り方、排卵検査薬や、医療機関で行われる超音波検査に関しても見ていきましょう。
排卵日を基礎体温で予測(測り方)
基礎体温は排卵日を起点に変化すると言われているため、自身の排卵日を知る参考になります。ここでは基礎体温の測り方を紹介してきます。
基礎体温とは、分かりやすく言えば寝ている間の体温。生命維持に必要最低限のエネルギーしか消費していない安静状態にあるときの体温のことを言います。
寝ている間に体温を測るのは難しいので、朝目が覚めて活動する前に測るのが一般的です。
基礎体温は、朝目が覚めたらそのまま動かずに布団の中で測りましょう。出来る限り毎日同じ時間に測ることが望ましいです。計測は小数点第2位まで正確に検温できる基礎体温計を舌の下に入れて行って下さい。計測した体温は基礎体温表やアプリなどで管理しましょう。
女性の基礎体温には「低温期」と「高温期」があり、個人差はありますが、低温期と高温期の平均温度差は0.3℃以上と言われています。
排卵日の2〜3日前から基礎体温が上がっていき、約14日間「高温期」が続き、体温が下がると生理が始まると言われています。
基礎体温で正確な排卵日を特定することはできませんが、3ヶ月ほど基礎体温を測ってグラフをつけると、自身の基礎体温と排卵のリズムをある程度掴むことができるでしょう。
排卵日を排卵検査薬で予測
排卵検査薬とは、尿中に含まれる女性ホルモン(LH…黄体形成ホルモン)を測定することで排卵日を予測するものです。排卵前になると黄体形成ホルモンが分泌され、約40時間後に排卵が起こると言われています。
事前に排卵日が分かると言っても約1日前であることと、排卵検査薬が使い捨てであることからむやみに毎日使うのはおすすめしません。前提で自身の生理周期や基礎体温で排卵日を予測できていることが望ましいです。
排卵検査薬は現在、第1類医薬品として扱われており、薬剤師のいる薬局やドラッグストアなどで手に入れることが出来ます。
超音波検査では、卵胞がどれくらい育っているかを測ることができます。ある程度の大きさになると排卵することがわかっているため、ホルモン検査と共に、排卵を予測するために医療機関でよく行われている方法です。
排卵日のずれについて
どんなに生理周期や基礎体温をチェックしても排卵日を確実に予測することはできません。過剰なダイエットや日頃のストレスなどでホルモンバランスが崩れ、排卵日のずれや、場合によっては排卵がない、無排卵を起こしてしまうこともあります。
危険日推測が絶対ではないということを念頭に置き、生理周期をバロメーターにして健康的な生活を送りましょう。
年齢別の妊娠確率統計
2002年の内閣府の出した「妊娠適齢期を意識したライフプランニング」では、「年齢別にみる排卵と妊娠率の関係」が示されています。
そのデータによると、男女同じ年齢の場合の妊娠の確率は、20歳代前半まではもっとも妊娠率が高い日でも50%、20歳代後半〜30歳代前半は40%、30歳代後半では30%です。
男性が女性よりも5歳年上の場合は、それぞれの年代で妊娠の確率は低くなる傾向があります。20歳代前半まで45%、20歳代後半〜30歳代前半は40%、30歳代後半20%以下です。
年代 | 男女同じ年齢の場合 | 男性が女性よりも5歳年上の場合 |
20歳代前半まで | 50% | 45% |
20歳代後半〜30歳代前半 | 40% | 40% |
30歳代後半 | 30% | 20%以下 |
内閣府「妊娠適齢期を意識したライフプランニング」を参考に作成
危険日のセックスと避妊
危険日かそうでないかに限らず、妊娠を望まないのであれば避妊を行いましょう。一方、危険日も避妊をすれば大丈夫と言うわけではもちろんありません。ここでは避妊の基本を見ていきましょう。
コンドームは正しく使用すれば、9割以上という高い避妊率が見込めると言われています。しかし挿入前に装着しない、射精後膣内に挿入したままにしているなど、間違った使い方をしていれば避妊に失敗してしまう確率を大きく上げてしまいます。使用方法を予め確認し、正しく使いましょう。
低用量ピルは、排卵自体を抑制する効果があり、正しく使用すれば妊娠する確率は0.1%とも言われています。しかし、当然飲み忘れなどをすれば正しく避妊ができない危険があるため、注意が必要です。
アフターピルは、避妊に失敗した際の緊急用ピルです。服用することで、受精卵の子宮内膜への着床防止や排卵遅延などを起こし、妊娠を回避出来ると考えられています。方法としてはレボノルゲストレルを1回服用する方法と、中用量ピルを2回服用するヤッペ法という方法があります。いずれも性交後72時間以内に服用する必要があり、時間が経過するとともに避妊の成功率は下がります。いずれも医師による処方が必要となる為、避妊失敗後なるべく早めに産婦人科を受診しましょう。
膣外射精は避妊ではありません。射精前でも無意識に精子が混ざった分泌物が出ており、精子の量は少ないものの、妊娠する危険は十分にあります。避妊を行いたいのであれば避妊具を正しく使用しましょう。
望まない妊娠は避けましょう
繰り返しになりますが、危険日かそうでないかに限らず、妊娠を望まないのであれば正しい避妊を行いましょう。一方、危険日および排卵日を知ることは、妊娠する可能性の高さを知ることだけでなく、自身の身体を知ることにも繋がります。健康維持のためにもチェックしてみると良いかも知れません。
※本記事は妊娠・健康・子育てに役立つ情報提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合には、ご自身の判断により適切な医療機関を受診し、医師にご相談ください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当サイトは責任を負いかねます。
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