「ギフテッド」とは?意味や特徴、発達障害との違いを解説。ギフテッドと言われている有名人などを紹介
今回は、最近よく聞くようになった『ギフテッド』についてご紹介します。
ギフテッドは英語で『gifted』と書きます。"gift"は贈り物なので、"gifted"は"贈られた物"という意味です。
人に対し使うときには『天から何らかの優れた資質を与えられた子』という意味で使われています。
ギフテッドとは
ギフテッドには、世界共通の明確な定義はありません。
アメリカでは州ごとに異なる基準があるそうですが、主に『同世代の子どもと比較して先天的に高い知識、理解力、倫理観を持ち、並外れた成果を出せるほど、突出した才能を持っている子どものこと』を指します。
突出した才能というのは、勉強だけでなく、言語能力、記憶力、芸術性、創造性など分野は問われません。
ギフテッドと判断されるために必要なことは、勉強や努力で身につけた優秀さではなく『先天的に持っている才能が優れている』ということです。
ギフテッドの特徴
ギフテッドの子どもには、小さなころから一般なこどもとは少し違った特徴が現れることが多いようです。
ここでは、よく見られる特徴をご紹介しますが、ギフテッドの人でもそれぞれ得意不得意があり、みんな同じではありません。
すべての分野で飛び抜けた才能があるわけではなく、算数は得意だけど国語は苦手だったり、芸術性はあるけど勉強は苦手だったりすることがあるそうです。
言葉を覚えるのが早い
ギフテッドの子どもは言語能力に長けていることが多く、言葉を覚えるのが早いだけでなく、語彙力が高く、物事や主張することに道筋を立てて、考えながら説明することができます。
集中力
興味や関心があることに対しては、長い時間ものすごい集中力で取り組めます。
知的好奇心がある
さまざまなことに関心を持ち、「なぜ?」「どうして?」と理由や意味を知りたがります。
理解力、記憶力が高い
教科書や参考書を読むだけで理解できたり、何十年も前のことも記憶していたりします。
ギフテッドの種類
ギフテッドには『英才型』と『2E型』という2種類があります。
英才型
全体的にバランス良く高い知能を持っています。周囲からも良くできる子と認知されやすいです。
2E型
ある能力に関しては飛び抜けた才能がありますが、その他の能力は普通の人よりも劣るという特徴があります。
秀でた才能よりも、劣る面の方が目立つため、才能に気づかず過ごしている人も多いようです。
ギフテッドは遺伝する?
ギフテッドが生まれる要因はまだはっきりとはわかっていませんが、家族の中にギフテッドがいる方がギフテッドが生まれやすいと言われています。
しかし、環境的な要因も関係していると考えられていて、環境要因のせいで、才能を発揮することができないこともあるそうです。
発達障害との違い
ギフテッドは発達障害とは異なりますが、発達障害と共通の特徴があるため、特に2E型のギフテッドの場合には、LDやADHD、ASDと誤診されてしまうことがめずらしくないようです。
ギフテッドと発達障害の共通の特徴
・興味があることに関してはものすごい集中力を発揮する
・完璧主義
・論理的思考が高い
・物事を深く考えすぎる
共通の特徴があるギフテッドと発達障害ですが、見極めやすい相違点もあります。
・ギフテッドはリーダーシップを取るのが得意ですが、発達障害の場合は苦手です。
・ギフテッドは他者の気持ちを推測するのが得意ですが、発達障害の場合は苦手です。
・ギフテッドは毎日決まったルーティンで行動するのが苦手ですが、発達障害の場合は得意です。
ただ2E型の場合には、これらの点も発達障害の場合に当てはまることがあり、『ギフテッドで発達障害』という人もいます。
ギフテッドの診断
ギフテッドの診断方法はいくつかありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
WISC-Ⅳ(ウェクスラー式知能検査)
知能指数を測定するための検査です。
適用年齢は5〜16才で、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度を測定します。
アメリカのギフテッドの子どもの平均スコアは、言語理解スコア:131、知覚推理スコア:126です。
QEEG検査
脳波を測定して、どの部分が平均よりも活性化しているのかを診断できます。
脳波によって、発達障害やストレスの状態なども可視化し、客観的に判断します。
ギフテッドの子供への教育
ギフテッドは、同年代の子どもたちと比べて、得意な分野で突出した才能があるため、学校での集団教育は退屈に感じてしまいます。
しかし、すべてが良くできるわけではなくて、不得意な分野もあるので、その科目では平均以下ということもあり、授業についていけないこともあります。
特に2E型の子どもは、得意なことと不得意なことの差が大きいので、才能をより高めるために、不得意なことが障害にならないようにサポートする必要があります。
海外の場合
アメリカでは、かなり前からギフテッド教育が行われています。
それぞれの子どもに合わせたカリキュラムが組まれ、難しい勉強内容を先取りするだけでなく、物事を倫理的に考えて結論を出すという思考力を伸ばすような教育が受けられるそうです。
日本の場合
日本では、最近ギフテッドが認識されるようになった程度で、特別な取り組みは特にありません。
得意な分野に関しては、勉強内容を先取りして進めていくことが多いようです。
ギフテッドへの接し方
ギフテッドは、他の人とは違う突出した才能があるため、『賢い子』と思われる反面、周りに理解されず『変わった子』と思われてしまうこともあります。
学校の授業が簡単過ぎて、習っていない公式や知識を使って答えると、先生に怒られたり、毎回他の子よりも早く問題が解けることで嫌な顔をされたりした経験から、わかっているのにわざと間違えたり、わからないふりをする子もいるそうです。
そうなるとせっかくの才能が高められません。
ギフテッドの才能は、必ずしも伸ばしていかないといけないわけではないですが、それが生活しづらさに繋がらないように接してあげることが大切です。
例えば、知的好奇心が旺盛なのはギフテッドの良いところです。興味や関心があることを深く知れるような機会や、インターネット等で調べられる環境を整えてあげるのはおすすめです。
また、突出した才能で周りに理解されなかったり、興味があることに没頭してしまうことから、周りと馴染めないこともあるため、安心できる場所を作ってあげることが大切です。
学校ではクラスメイトと同じようにする生活が求められます。それは才能のあるギフテッドにとっては窮屈な環境でしょう。
家庭では「普通」「年相応」という概念を外して接してあげると、家庭は安心できる場所と感じられると思います。
ギフテッドの有名人
多彩な才能を持ち、芸能界、スポーツ界、経済界で活躍する有名人にはギフテッドの人が多く存在しています。
海外では、アインシュタイン(倫理物理学者)や、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創立者)がギフテッドなのは有名です。
他にもシャロン・ストーン(女優)、クエンティン・タランティーノ(映画監督)などがギフテッドではないか、と言われています。
日本人では、北野たけしさん(芸人・映画監督・俳優など)、所ジョージさん(マルチタレント)、マシオカさん(俳優)、茂木健一郎さん(脳科学)などがIQ130以上でギフテッドだと言われています。
ギフテッドについて書かれた作品
才能があるがゆえに、生きにくさも感じることがあるギフテッド。
ギフテッドについて興味のある方はぜひ、こちらの作品をチェックしてみてください。
虹を操る少年(小説)
東野圭吾さんの『虹を操る少年』は、ギフテッドという言葉は出てきませんが、幼少期から天才的な知能の発達を見せた光瑠という高校生を主人公にしたストーリーです。
光瑠は、光を操って音楽のように美しいメッセージ発します。
光瑠が作り出した光楽に魅せられ熱狂する若者と、利用者を抹殺しようとする大人たち。
黒幕はだれなのか!?光瑠は光楽を使って何をしようとしていたのか!?気になります。
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gifted/ギフテッド(2017年・映画)
主人公は、数学に飛び抜けた才能を持っている7才の女の子メアリー。
メアリーは母親が自殺してしまったため、母親の弟であるフランクに育てられています。
フランクは、姉の遺志を継ぎ、メアリーを普通の子どもとして育てようとしますが、メアリーの才能に気付いた祖母が親権を主張し始めて…。
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ビューティフル・マインド(2002年・映画)
ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュの伝記小説を映画化した作品です。
天才であるがゆえの苦悩が描かれています。
統合失調症を患い、幻覚を見ながらも研究に没頭するジョンと、献身的に支える人々、苦難を乗り越えていく夫婦愛が感動的です。
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