「学校選択制度」とは?
「学校選択制度」とは、文部科学省が定めた学校教育法施行令で、市町村教育委員会があらかじめ設定した区域以外の学校へ通うことを選べる制度です。
本来通学する区域は法令上決まっているものではないので、地域社会の継続や、道路の造り、各市町村教育委員会の判断に基づいて、入学先が決定されています。
保護者と子どもが学校を選択するにあたっては、以下のような制度や選択の仕方があることが文部科学省の公式ページで公開されています。
市町村教育委員会は、就学校を指定する場合に、就学すべき学校について、あらかじめ保護者の意見を聴取することができる。(学校教育法施行規則第32条第1項)この保護者の意見を踏まえて、市町村教育委員会が就学校を指定する場合を学校選択制という。便宜的に分類すると、主に以下のようなタイプがある。
・自由選択制/当該市町村内の全ての学校のうち、希望する学校に就学を認めるもの
・ブロック選択制/当該市町村内をブロックに分け、そのブロック内の希望する学校に就学を認めるもの
・隣接区域選択制/従来の通学区域は残したままで、隣接する区域内の希望する学校に就学を認めるもの
・特認校制/従来の通学区域は残したままで、特定の学校について、通学区域に関係なく、当該市町村内のどこからでも就学を認めるもの
・特定地域選択制/従来の通学区域は残したままで、特定の地域に居住する者について、学校選択を認めるもの
出典:www.mext.go.jp
学区外の学校へ希望すれば必ず入学できるわけではない
学区内の学校への入学を希望せず、学区外の学校を希望しても、理由によっては受け入れてもらえないこともあります。
●就学校の変更(学校教育法施行令第8条)
市町村教育委員会から指定された就学校が、保護者の意向や子どもの状況等に合致しない場合において、保護者の申立により、市町村教育委員会が相当と認めるときには、市町村内の他の学校に変更することができる。(学校教育法施行令第8条)
また、市町村教育委員会は、就学校を指定する通知において、この保護者の申立ができる旨を示すこととなっている。(学校教育法施行規則第32条第2項)
出典:
文部科学省ではこのような法令がありますが、例えばどのような申し立てであれば受け入れてもらえるかもしれないのでしょうか。
・学区内に暮らしているが、ぎりぎりの場所・または境界線で暮らしており、隣の学区の学校の方が近い。
・いじめや性格的なもの、環境要因など様々な理由で不登校になった場合、不登校学級や情緒学級などのある学区外の学校に入学できる
・特認校など特色ある学校へ入学させたい場合
また、発達障害や身体障害などのある子どもが、障害児にも対応できる学校が学区外にある場合については、
“教育上特別な配慮が必要な児童・生徒については、就学校の指定に当たって、心身の故障の種類、程度等に関する慎重な判断が求められる。このため、市町村教育委員会には、就学指定について専門家による調査・審議を行う「就学指導委員会」を設置し、適正な就学手続きの実施を図ることが重要である。(学校教育法施行令第18条の2)”
専門機関で面談をするなど、調査審議を経て、学区外の学校への入学が認められることもあります。
学区外の公立小学校に入学するメリット・デメリットとは?
学区外の学校へ入学することで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
親子で学区外の学校を希望した理由によって変わりますが、このようなメリットが考えられるでしょう。
・学区外であっても自宅から近く通いやすい
・特別な配慮や対応のできるクラス(情緒クラス・不登校クラスなど)でその子どもに合った対応を受けられる
・特認校などで子どもの個性や得意を伸ばすことができる
・少人数校などの場合は、アットホームな関わり・学校生活を送ることができる
学区外の学校へ通う場合、このようなことに悩む可能性も考えておきましょう。
・知っている同級生や、ママ友がいないため情報交換がちょっと大変
・少人数の学校の場合、気の合う友達や先生との出会いがなければ6年間の小学校生活が辛くなる可能性も
・特認校など自宅から離れた場所にある学校を選んだ場合、6年間子どもを送迎をし続けるのが大変
子どもの気持ちも大切にしよう
保護者の方は様々な事情やお悩みを抱えているからこそ、学区外の学校への入学を検討していることでしょう。
検討している学校がある場合は、見学したり、その学校の先生と繰り返し話す時間を作って頂いたり、子どもとも一緒に行ってみる、知人やママ友がいればその学校の情報を教えてもらうなど、様々な事前のリサーチを重ねておきましょう。
また、一番大切なことは、子どもが「通ってもいいかな」と思う気持ちです。
保護者がいくら良いと思っても、実際に通うのは子ども本人。
子どもの気持ちを尊重してあげたいですね。
事前の下調べや準備は忙しい中大変ですが、楽しい学校生活を子どもが送れるよう、検討してみても良いのかもしれません。
分からないことは、積極的に専門機関へ相談してみましょう。