歯科衛生士が教える「磨き方」歯とブラシの間は斜め45度!注目のフッ素入りオーラルケアアイテムも紹介
あなたは「毎日歯磨きしているから大丈夫」と安心していませんか?もしかすると「ケアしているつもり」になっているのかも……。
前回に引き続き、Ha・no・ne編集部(インタビュアー:リン)は、たぼ歯科医院に取材を実施。
インタビュー第2弾となる今回は、歯科衛生士の工藤百夏さんにお話を伺いました。
前回の院長である多保先生へのインタビューにおいて、たぼ歯科医院では歯科衛生士による患者教育やメンテナンスにも力を入れているとのこと。
そこで工藤さんには、普段患者さんに指導されている適切な歯磨きの方法や、歯科衛生士が選ぶオーラルケアアイテムを解説していただきました!
前回の記事はこちら
クリニック頼りはNG!適切なホームケアで虫歯&歯周病予防に繋げよう
実は「磨けているつもり」の人が多い?
Ha・no・ne編集部 リン(以下リン)
たぼ歯科医院に来院される患者さんの中に「毎日ちゃんと磨いているよ!」という方でも、実際は汚れを落としきれていない人は多いのですか?
たぼ歯科 歯科衛生士 工藤百夏さん(以下工藤さん)
いらっしゃいますね。いつもの歯ブラシがきちんとできていないと、皆さんそれが「普通」だと思って来院されます。
そこで私たち歯科衛生士が、改めて適切な磨き方を指導しています。
リン
その「適切な磨き方」とは、どのようなものでしょうか?
工藤さん
磨きたい部分に狙いを定めてブラシをあてたら、そこで柔らかくゆっくり動かしてください。
強く磨いてしまうと歯茎が下がり、歯も削れてしまうする恐れがあります。
また歯の根元は、毛先を上げて、歯とブラシとの間が斜め45度になるようあてるといいです。
裏側を磨く際は、ブラシを縦にすると小回りがききますよ。
リン
特に気をつけるべきポイントはありますか?
工藤さん
上の奥歯を磨く際は、口を半開きにするのがポイントです。顎関節があるので、大きくあけてしまうと歯ブラシが入りにくいんです。
工藤さん
ちょうど唾液が上顎の奥あたりから出るので、汚れが溜まらないように気をつけましょうね。
唾液と汚れが混ざって、歯石ができやすくなってしまうので。
リン
そうなんですね!1本1本狙いを定めて、丁寧に……。
工藤さん
患者さんには、まずはそうやって1本1本丁寧に磨く時間を、1日1回は絶対に作って欲しいと伝えています。
歯並びや虫歯に歯周病…1人ひとりに合ったケア方法
リン
ちなみに、歯並びが気になる方や虫歯や歯周病の方など、それぞれのお口に合わせて歯磨きの方法は変えるべきなのでしょうか?
工藤さん
変えたほうがいいですね。
そもそも、歯ブラシだけでは汚れを落とすのが難しいといわれています。ですから、フロスやヘッドの小さい歯ブラシの併用を提案しています。
歯の状態によっては、歯間にフロスを入れるのみでいい場合もあれば、歯が重なっていて難しいケースもあります。
リン
つまり、患者さん1人ひとりのお口に合わせて、歯磨きのポイントやコツを指導されているのですね。
工藤さん
はい。ただ、「あれもしてください」「これもしてください」と一気に指導してしまうと、挫折の原因に繋がりかねません……。そういったコミュニケーションの部分でも、患者さんに合わせるよう意識しています。
歯科衛生士が提案したい予防ケアアイテム
リン
歯科衛生士である工藤さんから提案したいホームケアアイテムはありますか?
工藤さん
患者さんには、フッ素が高濃度配合されているものを提案しています。
フッ素は虫歯菌が虫歯を作るのを抑制してくれますし、歯の再石灰化を促す働きが期待できるので、初期の虫歯などにはよりメリットがあると考えられています。
それに歯自体を強く硬くしてくれる働きもあるんですよ。
リン
そうなんですね!ちなみに、どんなフッ素入りケアアイテムがいいのでしょう?
工藤さん
普通の薬局では購入できないのですが『チェックアップスタンダード』や『チェックアップルートケア』はいずれもフッ素が高濃度配合されてため、好まれる傾向にありますね。
とくに『チェックアップルートケア』は研磨剤無配合で歯が削れるのを避けられますし、ジェルタイプなのでお口全体に行き渡りやすいです。
(※『チェックアップスタンダード』は低研磨剤・ソフトペースト・低発泡タイプ)
リン
それでは歯周病の方だと、どういったタイプがいいのでしょう?
工藤さん
当院では『コンクール』のマウスウォッシュを提案しています。
ただ、歯周病の場合はとくにホームケアだけでは限界があるので、メンテナンスに来てもらうのが重要です。
歯周ポケットの中は、私たち衛生士が機械で施術しないと届きませんからね。
「私たちに任せきりではダメ」歯科衛生士が語るホームケアの大切さ
リン
院長の多保先生からは、歯科衛生士さんが患者さん1人ひとりの生活習慣や過去のデータを全部含めて、メンテナンスや患者指導を行われていると伺いました。
工藤さん
私たち衛生士に一任してくれているので、すごくありがたいです。
リン
「ここをこうやってケアしていきましょうね」という、口腔ケア全体のお話も、衛生士さんからされているのですか?
工藤さん
具体的には「私たちだけに任せきりではいけませんよ」というお話はしていますね。
私たちがお口をきれいにできる機会は、年に3~4回ほどしかありません。その間、毎日きれいにできるのは、患者さんご自身です。
ですから、いかに毎日のセルフケアが大事なのかをお伝えするように心がけています。
リン
そうやって指導されるうちに、患者さんご自身の意識も変化していくのでしょうか?
工藤さん
みなさん着実に成長されているように感じています!
久しぶりにクリーニングした時に、患者さんのお口の中がきれいな状態だと思わず「よかった~!」と、すごく嬉しいですね!
リン
それはやはり、患者さんとよい関係性が保たれているからですよね。
工藤さん
院長からも「患者さんと話して!」と、よく言われるんです。
仲良くなって、そこから引き出せるものもあるので、コミュニケーションはとても大事だと実感しています。
リン
そのような関わり合いの中で、患者さんのオーラルケア意識が高まるのですね。
今回は貴重なお話をありがとうございました!
「毎日歯をきれいにできるのは自分自身」……今回の取材で、特に心に留めておきたいことですね。
工藤さんから教わった適切な歯磨きの方法によると、優しく1本1本磨くのが大切だとわかりましたね。
あなたは、ゴシゴシ強く歯を磨いて「ケアしたつもり」になっていませんか?
いま一度セルフケアの方法を見直し、定期的なメンテナンスに通い、予防ケアを徹底してみてください!
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