パスクワ(イースター)到来!ハトのケーキと卵型チョコでお祝いを♡
日本ではまだまだ馴染みのないキリスト教の祝祭、復活祭。イタリアでは、クリスマスに並ぶ大切なイベントです。
パスクワ(復活祭)って何?
イタリア語でパスクワと呼ばれるこの祝日、日本語では復活祭。英語のイースターと言えば、もうお分かりですね。
十字架にかけられて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念・記憶する、キリスト教において最も重要な祭
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です。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日で、2016年は3月27日。もちろん教会ではミサが行われます。また、春の訪れを喜び合い、家族や友人と集まって過ごすという意味合いもある大事な宗教イベントです。
そんなパスクワ、この時期だけの伝統菓子があります
本来、パスクワ前の期間に禁じられていた肉や乳製品、卵が初めて解禁になる復活祭の正餐の食卓には、伝統的に卵やバター、ミルクなどをふんだんに使った独特のお菓子が用意されていました。その歴史から、地方によって様々なお菓子が生まれましたが、ここではイタリア全土で食べられている2アイテムをご紹介します。
①コロンバ
COLOMBA DI PASQUA(コロンバ・ディ・パスクワ)と呼ばれる、鳩が羽ばたく形を模したお菓子
出典:www.blog.amicamako.com
コロンバとは、イタリア語でハトのこと。精霊の象徴であり、平和のシンボルです。
その起源は非常に古く、572年にロンバルディア州のパヴィアに住んでいた菓子職人が侵略してきたランゴバルト族の王にこのパンを送ったのが始まりだとされています。
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クリスマスのパネットーネと同様、天然酵母を使用したしっとりしたスポンジ生地にバターと卵をたっぷり使用し、オレンジピールを入れるのが定番。トッピングにアーモンドペーストが塗られ、ふんわり焼き上げられています。チョコレートコーティングなど、さまざまなバリエーションがあります。
子どもたちもだーい好き。
②チョコレートの卵
イースターといえば、タマゴが思い浮かぶのでは?イタリアのパスクワに欠かせないもう一つのお菓子は、この卵型のチョコレートです。
卵を飾る習わしは、キリスト教および復活祭よりもかなり古くから存在する。
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卵が象徴するものは、墓と、そこから抜け出すことによって復活する命
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ということでこの時期、スーパーにもお店にも大小様々なチョコレートの卵がズラリと並びます。
実はこのチョコエッグ、中身は空洞で、イタリア語でソルプレーザ(サプライズの意)と呼ばれるオマケのおもちゃが入っているんです。
開けるとこんな感じ。プラスチックケースに包まれたおもちゃのプレゼントが隠れています。ウチの子たちはこんなに丁寧に割らず、アルミの包みの外側からガシガシチョコレートを殴って(笑)、卵の殻を粉々にしちゃいます。
中に入っているおもちゃの例。1品ずつ入っています。キャラクターは包みのイラストで選べますが、おもちゃ自体は何が出てくるか分からないので、ドキドキ。キーホルダーやらアクセサリーやらヨーヨーやらパズルやら。所詮は子どもだまし・・・と思っていても、一緒になってワクワクしながら開けるのが醍醐味です。
一方こちらは、食べてしまうのが勿体ないほどのデコレーションエッグたちです。
パスクワの時期には、有名パティシエのアーティスティックなデコチョコのデモンストレーションやマーケットが開かれることもあり、普段はお目にかからない高級チョコレートやずっと飾っておきたいようなチョコエッグを購入することもできます。
イースターエッグの絵付け
ちなみに、北欧やドイツ、イギリス、またアメリカなどでは、カラフルなイースターエッグを飾り付けたり、お庭などに隠して子どもたちが探し当てるエッグハンティングが伝統のようですが、イタリアではあまりメジャーではありません。保育園や幼稚園で、工作として絵付けをしたプラスチックのタマゴを持って帰ってきたりします。
パスクワの伝統料理 ~ ローマの我が家の場合 ~
パスクワの昼食
何かといえば家族親戚一同が集まり、美味しいものを食べまくるイタリア(笑)。
パスクワも、ディナーではなくランチでお祝いします。家での食事会でも、前菜にはじまり、一皿目、メイン、デザートと続くのが一般的
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ですが、前菜や1皿目のパスタは家庭ごとによって自由です。しかし、
パスクワの伝統は、「Secondo piatto(セコンド・ピアット=メイン料理)にAgnello(アニェッロ=子羊)を食べること」
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となっています。仔羊にも、伝統的・宗教的な意味合いがあります。
ユダヤ教の「過ぎ越しの祭り」で生贄として子羊を食べていた習慣に由来し、イースター に仔羊料理を食べる
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のです。特にローマ周辺では、子羊のオーブン焼きとカルチョーフィ(朝鮮アザミ)のソテーが定番。カルチョーフィは、ローマ風と言われる、たっぷりのオリーブオイルとニンニク、ミントを入れて煮込む調理方法で用意します。
子羊はイタリア語で普通Agnello(アニェッロ)ですが、特にローマ周辺ではAbbacchio(アッバッキオ)と呼ばれます。ちなみに、ローマ方言でとっても太った人のことをAbbacchioとも言うそうです!
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パスクワの翌日の朝食
普段、朝食にはクロワッサンとカプチーノだけ、というイタリアですが、パスクワの翌日の月曜日パスクエッタの朝食は、大変豪勢!ピッツァ・ディ・パスクワ(パスクワのピッツァ)と呼ばれる伝統パンと、やはりパスクワに恒例のサラミ。さらにゆで卵などを揃えた豪華な朝食を採るのが伝統です。
ピッツァと言っても、ドーム型のブリオッシュ生地のパンで、チーズを練りこんだ塩味タイプと、シナモンやアニスなどのスパイスが効いた甘口タイプと2種類あります。これは、イタリアでもローマのあるラツィオ州およびアブルッツォ州、マルケ州、モリーゼ州の中部の伝統だそうです。
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こちらが甘口タイプ。独特のスパイス味がクセになります。この時期しか売っていないので、思わず買いだめしちゃいます。
さらに、コロンバケーキやチョコレートエッグを食べて完了。幸せなパスクエッタの朝食タイムはのんびり家族で過ごします。
というわけで…Buona Pasqua!
パスクワ前後は学校も1週間ほどお休みに。日本の春休みのようなものですね。3月の第4土曜日の夜には夏時間も始まり、だんだんと日が長くなるのを実感出来る時期です。キリスト教における重要な意味合いを別にしても、子どもも大人も春の訪れに心がウキウキしてくる季節のお祝いがパスクワなんです。合言葉はBuona Pasqua(素敵なパスクワを)!今年も家族で過ごすパスクワが待ち遠しいです!