男の子?女の子?イタリアで、「性別が分かりにくい」→変更せよ!と裁判所への出廷命令が・・・
日本では、名付けの選択肢は無数にあると言えるでしょう。音の響きや漢字の意味で自由に言葉を組み合わせ、かわいい名やその子の未来を祈る思いを込めた名を両親が決めますよね。ところがイタリアでは、とある女の子の名前に対して裁判所が変更命令を出したんです!
ミラノ裁判所への出廷命令 → 赤ちゃんの名前の変更要請
イタリアで、出生届もパスポート申請も無事に終え、その子が1歳半になってから、こんな出廷命令を受けた夫婦のニュースが話題になりました。それはミラノ在住のルカさんとヴィットリアさん。女の子の赤ちゃんに、青色を意味する「Blu(ブルー)」と名付けていたのです。
変更命令の理由は、「性別が分かりにくい」から
ブルーという名前では、「性別が分かりにくい」ため即刻変更せよ、というのです!もしも両親が子どもの名前を変更しない場合は、裁判官によって新しい名前が決められると言い渡されたそうです。
イタリアの名付け事情
イタリアでは、男の子はOかE、女の子はAで終わる名前が主流
イタリアでは、男の子はOかE、女の子はAで終わる名前がほとんどです。男の子ならマリオ、アレッサンドロ、パオロ、ダニエーレ、エマヌエーレ…、女の子ならマリア、アレッサンドラ、パオラ、ダニエーラ、エマヌエーラといった具合。聖人や、古代ローマの皇帝の名前が大半ですね。なお男の子の名前として、ルカやアンドレア、二コラなどAで終わるものがいくつかありますが、これらはやはり聖人の名で、もともと男性の名前として普及しているものです。また、祖父母や親せきの名前を受け継いだというパターンも結構多く、呼び分けが大変そうです。
2000年には「性別が明確な名付け」をするよう定めた大統領令発布!
イタリアは色々な面で保守的な国だな、と住んでいて思いますが、この名前の大統領令については知りませんでした・・・!だから伝統的な名前が多いのか?同名の人が多いのか?漢字でも書き分けられる日本の場合、男女問わず名前のバラエティの豊かさはものすごいと思いますが、イタリアでは知り合いに同じ名前の人が何人もいるのが常です。
2016年の命名ランキング
2016年の新生児の命名ランキングを見ると、男の子はフランチェスコ(フランシスコ法王の影響でしょうか)、アレッサンドロ、レオナルドがトップ3。女の子はソフィア、アウローラ、ジュリアが上位でした。
そんな中、男女が分かりにくいからという理由での変更命令には、両親が猛反発!
「ブルー」ちゃんの両親は、男女の区別が付きにくいという理由で強制的に改名されることに異議を唱えました。SNSでも訴え、大きなニュースになりました。
ブルーという名前の女の子は存在するのに!
とはいえ実はイタリアには、すでに「ブルー」と名付けられた女性が数名存在しており、世界的に見ればもっと多く使われている名前です。
ビヨンセとジェイ・Zの娘、ブルー・アイビーなど海外での例もある
出典:a.excite.co.jp
みんなの反応は?
ブルーという名前自体に賛否両論
ローザ(ピンク)、ビアンカ(白)という名前は昔からありますが、青を意味するブルーという名前は、男女関係なく伝統的な名前とは言えません。そのため色々な意見が出ています。
賛成派
私は好きだな…それに、一応イタリア語表記だもの(英語でBlueにすることもできたのにね)。響きも柔らかいじゃない
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私は、自分の子は自分が望むように呼ぶ!ブルーはとっても素敵な名前だよ
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反対派
どうせなら、マローネ(栗色)とかグリージャ(灰色)とかヴェルデ(緑)とか、セナペ(カラシ色)とかにしたら?一生この名前を背負っていくその子が苦労しないように、制限はあるべきだ
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その子はずっとその変な名前で生きていかなきゃならないのよ!ブルーだなんてとんでもない⋯!そんな無意味な名前、犬にでも付ければいいのに
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司法機関が名前の変更を命じることに対しても批判多数
国が、それぞれの子どもの名前に口を出してくること自体、中世の世界だ
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どうしてこの国では、何でもかんでも裁判所なんかから決められなければいけないの⋯。普通と違う名前を選んだって、何にも悪いことなんてないと思うけど⋯
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子どもの名前を選ぶ時には、その子がその名で一生涯を歩まなきゃいけないってことを考慮すべき。出来るだけ、名前のせいで苦労することなく、ね。
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ブルーの名前に込めた思いは・・・
ブルーちゃんの両親は「青」という意味だけでなく、Bella(美しい)、Luminosa(明るい)、Unica(唯一の)という3つの単語の頭文字を取ってBluという名前にしたのだそうです。
結果として・・・名前の変更命令は撤回!
裁判沙汰が公表されてから数ヶ月後、ブルーちゃんの両親の希望が通り、名前の変更命令は撤回されたとの続報がありました。
笑顔のパパのインタビュー
「このような結果になって嬉しいです。いずれにしても、私たちは『ブルー』と呼び続けていたでしょうけど。もうこれが彼女の名前なんです。この子の瞳も、自我のはっきりした性格も、この色をよく表していてぴったりの名前なんです。ここ数日で、イタリア全土にいらっしゃるブルーという名前の女性たちとコンタクトを取ることができました」
イタリアで、伝統を打ち破る名付けの布石に!?
日本でもキラキラネームが話題になりますが、親が様々な思いを託して、生まれた子どもに素敵な名前を付けたいのはどこも同じなんですね。イタリアでも、これから伝統以外の名付けが増えそうな気がします。