ウクライナからの転入生…。戦火を逃れてイタリアに来た男の子が息子のクラスにも!
戦争が始まって1か月。ウクライナからの避難民が大勢到着しているイタリアで、ローマの小学校に通う息子のクラスにも、戦火を逃れて来た男の子が転入することになりました。
ロシア軍がウクライナに侵攻を開始してから1ヶ月以上が経ちました。度重なる停戦交渉もほとんど進まず、一般市民の被害も増え続けています。国外への避難民も3月末で1000万人を数えています。
ロシアによるウクライナ侵攻で、戦火を逃れるために多くの人々がウクライナ国内外に避難しています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、その数は人口の約4分の1にあたる1千万人にのぼります。
出典:www.asahi.com
イタリアにも多くの避難民が……
3月27日時点で、イタリア国内に到着したウクライナ避難民は71,940人。未成年が28,197人もいます。
Sono 71.940 le persone di cittadinanza ucraina giunte finora in Italia: 37.082 donne, 6.661 uomini e 28.197 minori.
出典:www.rainews.it
息子の通うローマの小学校にもウクライナの少年が転入
そんな中、小学五年生の息子のクラスにも、ウクライナから来た男の子が転入することになりました。
子どもたちはどう受け止めたのか?
親たちは、どんな風に受け止めてあげればいいのか、自分の子どもにどう説明すべきか、とても難しい状況だと色々考えてしまいましたが、子どもたちの反応は良い意味で意外と「普通」だったみたいです。
「新しいお友達が来るんだって!どんな子かな?楽しみ!」というのが、クラスの子どもたちの最初のリアクションだったよう。もちろん戦火を逃れて来る子であることは先生が説明したようですが、実際問題、仲良くなれるかな?友達増えるかな?という点が気になった模様。
歓迎の絵を描いてお出迎え
みんなで、「ようこそ!」というイラストを描いて初日に迎えてあげたのだそうです。
カタコトの英語でコミュニケーション
その子はイタリア語が話せず、もちろんこちらの子どもたちはウクライナ語が分かりません。ですがカタコトの英語と、あとは身振り手振りでコミュニケーションを取っているそうです。
詳しいことは聞けないけれど……
先生が皆に説明した話や、他のお母さん方からの話を集めると、その子は、クレメンチュークというウクライナ中央部の都市からポーランド経由でイタリアに来たとのこと。
もともとイタリア在住だった叔母さんを頼って、お母さんと2人でウクライナを出国したそうです。お父さんのことは聞けないでいますが、兵力になる男性は出国出来ないはずなので、離れ離れで来たのかもしれません……。
息子は、おやつを交換したり、どんなゲームで遊ぶのか聞いたりして仲良くなったとか。「プレステ持ってたけど、こっちには持ってこられなかったんだって」、とかなり神妙な顔で話してくれました。
今後はまだ分からないことだらけ
その子はまだ転入して1週間。その間お休みの日もあり、まだまだ馴染めていないようです。
この1ヶ月の間に、どんな体験をして来たのか、私には想像もつかないですし、精神的心理的に不安定なのかもしれません。
この先も、いつ国に帰るのか・帰れるのか、イタリア語を学びここで教育を受け続けるのか、本人にもお母さんにも、受け入れた学校にも、誰にも分からないのが現状です。
ですが子供同士、変に哀れんだり同情したりせず、かと言ってお父さんのことなど根掘り葉掘り聞くことも無く、「普通」に仲良くなりたいと思っている子がたくさんいます。先生たちもそういう風にクラスを導いてくれているのでしょう。
一方で、その子の存在を通して、言葉には出さなくてもイタリアの子供たちもいろいろ感じている様子です。ニュースで見聞きする凄惨な戦場や、国同士の政治的な問題はやっぱりテレビの中の話になってしまいますが、同じクラスにその子を迎えたことで、自分のこととして考え始めたのだと思います。
そしてその子も、もちろん簡単ではないと思いますが、できるだけ早く心を開いて皆と打ち解け、少しでも落ち着いた暮らしができるようになればと願います。仲良くなって、いつかまた故郷に帰っても、友情が続けば。そうすれば戦争なんかしようという大人にはならないはず!今はこんな話を家族でしています。
2022年2月24日に、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が開始。民間人の被害も拡大し、現状まだ戦闘が続いています。