①出産は最大の異文化体験!
妊娠中の食事や産後の過ごし方については日本人の中でさえ様々な考え方があるので、国が変わればその国の文化を反映してさらに多様化します。出産は最大の異文化体験とも言われますが、出産する国の文化を理解し、納得した上で(あるいは諦めて受け入れて?)、出産に臨むことが何よりも一番大事なことだと感じました。
入院中の食事。ベジタリアン食のため肉・魚類は無し。ミルク、ヨーグルト、チーズなど乳製品を積極的に摂ることが推奨されていました。
②取り除くことができる苦痛は取り除く。
妊婦検診で不調を訴えると、つわりの症状を和らげる薬やビタミン剤など、妊婦であってもどんどん薬を処方されます(もちろん、妊婦が飲んでも問題のないものです)。つわりが重いときや仕事をしなければならない時に、苦痛を和らげる選択肢があるのはありがたいですね。
③インドでも主流の無痛分娩。
わたしは出産にあたっては無痛分娩を選択しました。海外で一般的な無痛分娩ですが、ここインドでも主流です。麻酔を入れると途端に陣痛の痛みが消え、出産時も全く痛みはなく、分娩後1時間もしないうちに日本にいる両親と電話で話ができるほど元気でした。
病室前の廊下。インドとは思えないほどきれいな病院です。
④たくさんの人に囲まれてのにぎやかな出産。
分業制のインドらしく、出産時や入院中はたくさんの人が出入りしてにぎやかでした。ナースやドクターのほか、食事係、栄養士、授乳指導、掃除人、新聞配達などが入れ代わり立ち代わりやってくるのでちょっと落ち着かなかったですが、振り返るとそれもいい思い出です。
⑤入院期間は日本よりも短め。
わたしの出産した病院では通常分娩は2泊3日、帝王切開は3泊4日が基本パッケージ。出産後は、ドクターもナースも「あなた、いつ退院するの?」と聞いてきます。無痛分娩が主流であることや、家族やヘルパーのサポートを得やすい環境であることが、入院期間の短さにもつながっているのではないかと思います。
入院していた個室。応接セットもあり快適な部屋です。
⑥退院後すぐに病院通いが始まる
入院期間が短いため、乳児健診や母体のチェックのために退院後すぐに病院通いが始まります。生後間もない赤ちゃんを連れての外出は緊張しますが、子育てに慣れない時期にドクターやナースと頻繁に話をしたり、赤ちゃんの様子を見てもらえるのは非常に心強いです。
産後すぐにお世話になった小児科医。
⑦産前産後の生活をサポートしてくれるひとたち
インドでは家事全般をするハウスキーパー(メイド/サーバント)、ドライバー、子守専門のアヤ、門番をするチョキダールなど、さまざまな職種のヘルパーがいます。身近に頼れる人が少ない海外出産において、相性のいいヘルパーとの出会いは非常に重要です。私も出産前からハウスキーパーを雇い、家事全般をお願いしています。産後の体力回復の助けにもなりましたし、家事負担が軽減されることで子供と向き合うための時間的・精神的な余裕が生まれるため、今となってはなくてはならない存在です。
⑧複雑な各種手続き
子どもが生まれてから日本の出生届、戸籍登録、現地での住民登録、パスポート・VISAの取得等、出産後の各種手続きは非常に大変でした。わが家は生後3か月で日本への一時帰国を予定していたのですが、子供のパスポートが手元に届いたのは出発の1週間前…。どんなスケジュールで手続きを進めればいいのか、出産前から情報収集をしていくことが必要です。
ちなみに、外国人がインドで出産しても、子供にはインド国籍を得る権利はないそうです。
生後2ヶ月半で取得した娘のパスポート。母子手帳は日本の書店で英語版を購入しました。
⑨出産にまつわる費用
3泊4日の入院(無痛分娩、個室)で出産費用は50万円ほどと、日本の普通分娩とそれほど変わらない値段でした。ただし、インドはインフレが続いており出産費用も年々上昇しています。
なお、海外出産であっても健康保険から出産一時金や育休中であれば育児休業給付金を受け取ることができます。
⑩海外出産してよかった!
出産において、日本は世界的に見ても非常に清潔な環境の下できめ細やかなケアをしてくれる国です。それは、日本と同じような出産をできる国はほかにはほとんどないということ。それでもわたしは海外出産を選んでよかったなと思います。もちろん、信頼できる医師との出会い、安心して出産できる環境があることが大前提。不安もたくさんありましたが、出産直後から家族そろって子育てできること、これから子どもが生活する国への理解が深まることはわたしにとって非常に有意義なものでした。
今回はわたしの出産経験から感じたことをご紹介しました。出産や子育てはその家族によってさまざまなかたちがあります。「こうあるべき」という考えにとらわれず、自分らしい子育てを楽しみたいですね。
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