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日本で1番売れている絵本『いないいないばあ』が累計出版部数700万部突破!4世代にわたって読みつがれるその魅力とは?

日本で1番売れている絵本『いないいないばあ』が累計出版部数700万部突破!4世代にわたって読みつがれるその魅力とは?
参照 : prtimes.jp
“あかちゃんの笑顔のひみつ”を乳幼児期の脳と心の発達が専門の 京都大学大学院・明和政子教授 が語る 「家族で読むファーストブック」「今こそ絵本の読み聞かせを」
日本で1番売れている絵本『いないいないばあ』が累計出版部数700万部突破!4世代にわたって読みつがれるその魅力とは?
参照 : prtimes.jp
『いないいないばあ』や『いいおかお』『もうねんね』をはじめとしたあかちゃん絵本などを出版する、株式会社童心社の、日本で1番売れている絵本※1『いないいないばあ』(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え)が2020年11月24日(火)付の重版で累計出版部数700万部を突破しました。 今回、あかちゃんが実際に絵本を楽しんでいるWEBムービー「700万の、あかちゃんの笑顔のひみつ」を製作。京都大学大学院教育学研究科・明和(みょうわ)政子教授があかちゃんの笑顔のひみつについて話してくださいました。 また、自分だけのオリジナル帯をサイト上で作り、ご応募いただいた方の中から抽選でオリジナル帯をかけた『いないいないばあ』をプレゼントするキャンペーンも近日スタート予定です。
出典:prtimes.jp
『いないいないばあ』(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え) ISBN978-4-494-00101-9 定価770円(本体700円+税) 21.0×18.6㎝ 20頁 初版1967年4月15日

『いないいないばあ』が累計出版部数700万部を突破

童心社は、紙芝居の出版社として1957年に創立し、絵本、児童書と出版活動を広げ多くの作品を出版してまいりました。その中で、日本で1番売れている絵本※1、『いないいないばあ』も誕生しました。 『いないいないばあ』制作当時、いわゆるあかちゃん向けの絵本は、書店の店頭絵本塔に並べられている合紙絵本が主流でした。「赤ちゃんに精神が芽生えはじめたこの時期に、(中略)美しい日本語を伝えたいし、よい絵本で育てたい。」※2そう考えていた『いないいないばあ』の著者、松谷みよ子は2人目の子どもを身ごもったとき、自らあかちゃん絵本を作ろうという思いを強くします。松谷と親交があり、同じ思いをもつ母でもあった童心社初代編集長の稲庭(いなにわ)桂子は、「0歳からの絵本をつくりたいの。0歳からの文学があると思うの」※3と松谷に依頼し、制作がはじまりました。 その後、画家の瀬川康男、当時絵本を手がけることは珍しかったブックデザイナー辻村益朗とともに試行錯誤を重ね、『いないいないばあ』は日本初の本格的なあかちゃん絵本として誕生しました。 1967年の発売当初より多くの読者から「あかちゃんがほんとうに笑うんです。」とうれしいお声をいただき、半世紀以上が経ちました。今でもなおあかちゃんがはじめて出会う一冊として、世代を超えて読みつがれ、そして2020年11月24日(火)付の重版で、339刷、累計出版部数700万部を突破しました。 「いない いない ばあ」と語りかけて一緒に楽しむことで、あかちゃんも大人も笑顔になり、心の交流を通じて親子の信頼を深めるきっかけになります。そんな読者の皆さんの体験が口コミとなって広がり、支持され続けてきた絵本です。 (※1)トーハン「ミリオンぶっく2020」調べ (※2)月刊『絵本』(1974 年10月号 すばる書房盛光社刊)(※3)『子どもを見つめて 稲庭桂子遺稿集』(1977年10月24日)

『いないいないばあ』でうまれるあかちゃんの笑顔のひみつとは?

刊行以来、ご家庭や保育の場などさまざまな場面で読まれ、あかちゃんに笑顔を届けてきた『いないいないばあ』。これまで、佐々木宏子先生(鳴門教育大学名誉教授)、中村柾子先生(元幼稚園教諭・保育士)、正置友子先生(絵本学研究家・青山台文庫主宰)をはじめ、あかちゃんと絵本に関わる専門家の方々が、この作品の力について語ってきてくださいました。 (※別紙 参考①「あかちゃんと絵本の専門家の方々による『いないいないばあ』についての論考」をご参照ください。) このたび新たに、乳幼児期の脳と心の発達が専門の京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授が、あかちゃんの笑顔のひみつや読み聞かせのポイントについてお話しくださいました。(以下、明和政子教授のコメント)

ポイント① 笑顔は“予測”から? あかちゃんを魅了する展開と本づくり

『いないいないばあ』は誰もが知っている遊びを絵本にした、非常にシンプルなつくりになっていますが、なぜあかちゃんは笑うのでしょうか。そこにはあかちゃんの脳の発達、特に “予測する能力” の発達が深く関わっています。 生後9ヶ月くらいになると、いわゆる「人見知り期」に入りますが、これは予測する能力が発達してきた証拠です。いつも聞いている親の声で「ばあ」という声を聞きながらページをめくる経験を積み重ねると、あかちゃんは「次に何が起こるか」を脳内で予測するようになります。予測のとおりになると、不安から安心へと気持ちが変化し、あかちゃんは笑います。 言い換えると、予測できない場面に直面するとあかちゃんは人見知りや場所見知りを示します。 見知らぬ誰かが、 “いないいないばあ”をやっても、あかちゃんは最初は笑わないでしょう。なぜならこの時期のあかちゃんにとって、いつもとは違う誰かからの働きかけは予測が難しいからです。しかし、知らない人と『いないいないばあ』を読んで、その経験を積み重ねていくことでその人の声や表情が絵本と結びついて記憶されていきます。 『いないいないばあ』の特徴のひとつは、絵本のキャラクターの白目と黒目のコントラストがはっきりしていることにあります。生まれたばかりのあかちゃんでも、白目と黒目のコントラストに反射的に注意を向けることが知られています。あかちゃんは「ばあ」のページで、とくに目に注意を向けているはずです。 また『いないいないばあ』は、日常生活の中に溶け込むようなやわらかく温かいタッチ、色刺激が強すぎない日常場面で目にする質感に近い色彩で描かれていることも、あかちゃんが顔に注意を向けやすい一因になっていると思います。
出典:prtimes.jp

ポイント② 気持ちのいい感覚がわきたつ! 絵本を楽しむ中でうまれるスキンシップ

親は読み聞かせと同時に、あかちゃんの手を触ってあげたり、ぎゅっと抱きしめてあげたりと、スキンシップをしています。ヒトを含むほ乳類動物は、スキンシップによって子どもだけでなく親の側にも「心地よい感覚」をわきたたせる身体の仕組みをもっています。身体を優しく接触させることで、オキシトシンという内分泌ホルモンが脳内から分泌されるからです。 脳が最も発達する乳児期に親との身体接触の機会を豊かにもつ、つまり幼少期からコミュニケーションに対して心地よさを感じる経験は、将来親以外の他者との安定した対人関係を築くための土台となります。
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ポイント③ 今こそ大切! 絵本を読みあう時間は親子ともに笑顔になる最高の場面――家族にとってのファーストブック

『いないいないばあ』を読むことで、あかちゃんには笑顔がうまれます。一方で親にとって育児は手応えを感じづらく、自分がやっていることはあかちゃんにとって良いことなのかと不安に感じることが多いのではないでしょうか。 日常の育児場面であかちゃんと絵本を読みあうことは、「自分があかちゃんに対してやっていることは間違っていない。喜んでくれている。」という自信、つまり”育児効力感”を高めることにつながります。親子がともに笑顔になれる最高の場面です。 昨今の新型コロナウイルスの影響によって変化する日常があかちゃんの脳と心の発達にもたらしうるリスクについても危機感を持っています。 ヒトは顔らしい刺激に特化して活動する神経細胞をもっていますが、それを働かせるには、日常場面で多様に「動く」顔(喜怒哀楽といった表情)をたくさん見る経験が不可欠です。豊かな表情で声かけを行いながら、絵本を読む中で積極的にコミュニケーションをはかっていただきたい。 マスク着用で口の動きが覆い隠されることが当たり前となりつつある今だからこそ、あかちゃんにとってそうした機会が重要となるでしょう。
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京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授

出典:prtimes.jp
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て、現在、同教授。日本学術会議連携会員。 ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較し、ヒト特有の脳と心の発達とその生物学的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界にさきがけて開拓した。 単著に『まねが育むヒトの心』(岩波書店)、『ヒトの発達の謎を解く―胎児期から人類の未来まで』(筑摩書房)など。 2016年放送のNHKスペシャル2編『ママたちが非常事態⁉ 最新科学で迫るニッポンの子育て1・2』,2017年放送の『ニッポンの家族が非常事態⁉~第1集 わが子がキレる本当のワケ~』等の監修・出演により、現代社会が抱える子育てにかんする様々な問題を、最新の科学的知見から理解する活動にも力を注いでいる。

あかちゃんが『いないいないばあ』を楽しむ様子をおさめたWEBムービーが公開

実際に『いないいないばあ』の読み聞かせを行っている親子の映像を見ながら、明和政子教授があかちゃんの笑顔のひみつや読み聞かせについてコメントするWEBムービー「700万の、あかちゃんの笑顔のひみつ」を公開しました。
出典:prtimes.jp

700万部突破記念特設サイトが近日オープン! 著名人らによる作品へのメッセージも公開

700万部突破を記念した特設サイトでは、700人の著名人や、書店員、図書館関係者、読者の皆様など様々な立場の方からのメッセージを紹介します。また、自分だけのオリジナル帯を画面上で作り、ご応募いただいた方の中から抽選で200名に、その帯をかけた『いないいないばあ』をプレゼントするキャンペーンも、近日スタート予定です。

吉田明世さん(フリーアナウンサー・絵本専門士) コメント

出典:prtimes.jp
【時代も世代も超えて心をつなぐ幸せのバトンです】 初めての子育てに毎日あたふた。赤ちゃんとのコミュニケーションはどうやって取ればいいの? そんな不安を解消するきっかけになったのが『いないいないばあ』との再会と母の優しい声の記憶でした。ページをめくる度に大笑いする娘がふと過去の自分と重なった時、母と私の親子の絆をさらに深めるきっかけまでくれたのでした。 1988年生まれ。2018年5月に女の子を出産。絵本専門士と保育士の資格を持つ。 TBSのアナウンサーを経て2019年2月にフリーになり、現在はテレビ番組にとどまらず、ラジオ、イベント、講演会など、多彩に活躍。インスタグラム @akiyo0414

「いないいないばあ にゃあにゃのゆびにんぎょうセット」11月24日より取次搬入開始

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『いないいないばあ』の最初に登場するにゃあにゃが、てのひらサイズの指人形になりました! ご出産のお祝い、初めてのクリスマスプレゼントにぴったりです。 「いないいないばあ にゃあにゃのゆびにんぎょうセット」 松谷 みよ子・ぶん 瀬川 康男・え ISBN:978-4-494-00766-0 定価:2,970円 (本体2,700円+税) 初版:2020年12月1日 サイズ:23×28.7cmセット内容:『いないいないばあ』1冊、にゃあにゃのゆびにんぎょう1体

参考①:あかちゃんと絵本の専門家の方々による『いないいないばあ』についての論考

出典:www.photo-ac.com

佐々木宏子先生(鳴門教育大学名誉教授)  つなぐものとしての絵本「いないいないばあ」

おとな(読み手)が絵本を開いて「いないいないばあ」と語りかけると、あかちゃんは笑います。 くり返しおとなが「いないいないばあ」と語りかけると、あかちゃんはくり返し笑います。あかちゃんが笑うと、おとなも笑います。あかちゃんの笑いとおとなの笑いがとけ合い心が結ばれます。今度は、あかちゃんが「ばあ」と語りかけると、おとなは笑います。 おとなが驚きと幸せのジェスチュアーを交えて、絵本のなかで「いないいないばあ」をするくまを指さしながら、「くまちゃんくまちゃん」と語りかけると、あかちゃんはあかちゃん語で自分の心を語りはじめます。絵本を開きながらジェスチュアーをとおして、表情をとおして、視線をとおして、言葉の抑揚・音韻・リズムをとおして、向き合う者のふたつの心は通じ合い、そのくり返しのなかでお互いの理解と信頼は育まれていきます。 『いないいないばあ』は、一方的で人工的なマスメディアによる子どもの文化財が氾濫するなかで、あかちゃん絵本の原点のような存在となりました。あかちゃんが人となるためにもっとも大切なこと、多くの人とうまく関係を結ぶための基本的なレッスンを促します。裏返せば、おとなにとっては、まだうまくコミュニケーションのとれないあかちゃんの心を理解し、どのようにすれば楽しくつき合えるかを学ぶテキストにもなるのです。 絵本をとおしてくり返される「いないいないばあ」の世界は、やがて日常の多様で複雑な人と人との間のコミュニケーション能力を育んでいきます。そして、あかちゃんは毎日新しい人と出会うなかで「いないいないばあ、いないいないばあ」と日常の扉を開け、新しい顔や言葉を作り人生を歩んでいくことでしょう。 (童心社パンフレット「絵本ガイド」より) 佐々木宏子プロフィール 京都府出身。絵本の主題分析にもとづく「絵本心理学」を構築。鳴門教育大学では、地域に開放された児童図書室長や、附属幼稚園長として、実践の場にも関わった。著書に『新版 絵本と子どものこころ』(JULA出版局)『絵本は赤ちゃんから』『絵本の心理学』(新曜社)など。

中村柾子先生(元幼稚園教諭・保育士)  いないいないばあ 大好き!

いないいないばあは、赤ちゃんの大好きな遊びです。いつもそばにいる人が、両手で顔を覆い「いないいない」の声とともに隠れると、「ばあ」とあらわれる。単純極まりない遊びですが、実によくできていると思いませんか。いないいないばあは、1、2の3というリズムですね。目の前の人が顔を隠してしまうのですから、あれっと思うのは当然。でもすぐに目の前にあらわれる。子どもにとって、こんなにうれしいことはないでしょう。いないいないばあは、人と人との間で交わされる遊びなのです。 ところが、この数年、おやっと思う話を聞くようになりました。スマートフォンのアプリにこの遊びがあるらしく、1、2歳の子どもが自分で操作して、いないいないばあをしているというのです。人の声のトーンや出てくるタイミング、表情、遊び方の工夫などのどれもが貴重なのに、画面に向かってするなんて、なんてもったいない。これではコミュニケーション能力そのものが育たないでしょう。 遊びの醍醐味を知った子は、絵本の『いないいないばあ』を読んでもらうと、きゃっきゃっと笑います。素朴な遊びなのですから、絵にことさらの仕掛けはいりません。いないいないばあをテーマにした絵本はたくさん出ていますが、本書が長い間、子どもたちに愛されてきたのには、ちゃんと理由があるのです。ねこや、いぬ、ねずみたちは、ページをめくると満面の笑みで子どもの前に現れます。まっすぐ正面を見つめる顔が、子どもたちに「ばあ」と呼びかけているのです。出てくる顔がどれも嬉しい顔だから、赤ちゃんは安心して絵本をのぞきこみます。いないいないばあという遊びの意味をきちんととらえている絵本と言えるでしょう。動物たちは妙に擬人化されず、温かくのどかです。今どきの絵本に比べれば地味な色合いにも見えますが、大事なことは遊び心そのものを味わうことにあるのですから、文中の動物たちに声をかけたくなるような自然な色彩がこの絵本にぴったりです。 絵本を読んでもらったら遊びたくなる、遊んだあとでまた見る。幾度も続くこの往復が、赤ちゃんの遊びを育て、読んでもらう歓びを育てることにつながります。いないいないばあの絵本には仕掛け絵本やキャラクターものも多くありますが、おもちゃのような絵本ではなく、子どもに静かに深く向き合うものを選びたいですね。 (童心社定期刊行物『母のひろば634号』2017.3.15より抜粋) 中村柾子プロフィール 幼稚園教諭、保育士として勤めた経験を生かしながら、退職後も絵本とかかわり、絵本について考え続けている。著書に『絵本はともだち』『絵本の本』(ともに福音館書店)などがある。

正置友子先生(絵本学研究家・青山台文庫主宰) 生まれてきてくれて、ありがとう ――あかちゃんと絵本『いないいないばあ』

『いないいないばあ』(*1)をあかちゃんたちと何回読んだでしょうか。わが子と、青山台文庫(*2)にきてくれる地域のあかちゃんたちと、そして孫と。多分、700回は読んでいるでしょう。子どもたちと読んだ絵本はたくさんありますが、その中でも1番回数多く読んできた絵本がこの絵本です。なぜでしょうか。 それは、この絵本を読むことで、私があかちゃんたちに、「生まれてきてくれて、ありがとう」という気持ちと、「人生は厳しいけれど、生きる価値があるものですよ」ということを伝えられるからです。最初から、このような気持ちで、この絵本をあかちゃんたちと読んだわけではありませんでした。何度も何度も読んでいく過程で、あかちゃんたちがこの絵本を読んでもらう時に見せてくれる顔や身体の表情などから気がついたのです。そして、受け取る様子には変化はあるものの、3歳になっても、もういい、とは誰も言わないのです。 まず、遊びの「いないいないばあ」について考えてみます。あかちゃんに向かって、おばあちゃんから小さいおにいちゃんまで、思わず「いないいない…ばあ」をします。最初は、怪訝な顔をしていたあかちゃんも、「ばあ」で大喜びをするようになります。その内に、声をたてて笑うようになります。 とりわけ、おかあさん(母親でなくてもいのですが、便宜上そうしました)の場合、おかあかさんが顔を隠すことは、あかちゃんにとって、大事な人がこの世から消えたことになり、泣きそうな顔になります。ブルーナー(*3)の実験でも、あかちゃんたちが待てる時間は2~7秒くらいで、1秒の子もいるそうです。あかちゃんたちは、生まれながらにして、自分が生きていくには、この人が大事なんだと分かっているということです。 あかちゃんにとって、大切なおかあさんと一対一の関係で向かい合い遊べることのうれしさ、その人が消えてしまった時に味わう不安、その後におかあさんが「ばあ」とまた現れる、という一連のパターンを通して、おかあさんは消えることはあっても、絶対にそこにいるという安心感を抱くようになります。こうして、おかあさんへの信頼感を、遊びを通して、身体で学んでいきます。 絵本『いないいないばあ』は、50年以上読み継がれ、絵本界の古典の仲間入りをしています。それは、この絵本のテーマが、あかちゃんたちにとって非常に大切なテーマを扱っているからと云えます。信頼を築くこと、信頼が崩れることがあるかもしれないこと、それでもまた信頼関係を築くことができるという希望があることです。生きていく上では、孤独になること、挫折することもあるかもしれません。でも、希望もありますよ、また出会いもありますよ、とこの絵本は教えてくれます。 (*1)タイトルに「いないいないばあ」という言葉が入っている絵本は100冊以上ありますが、ここで注目している絵本は『いないいないばあ』(松谷みよ子・ぶん 瀬川康男・え 童心社刊)です。 (*2)青山台文庫は大阪の千里ニュータウンにある、子どもたちと本を結ぶ文庫です。1973年に開始し、今も行っています。まもなく50周年です。 (*3)ブルーナーは、“Peekaboo and the Learning of Rule Structure”という論文にまとめ、Play:its role in development and evolution(J.S.Bruner他編,New York:Basic Books.1976)掲載。未邦訳。 (童心社定期刊行物『母のひろば667号』2019.12.15より抜粋) 正置友子プロフィール 大阪・千里青山台団地で青山台文庫を開設。ローハンプトン大学大学院に留学し、ヴィクトリア時代の絵本研究で博士号を取得。著書に『メルロ=ポンティと<子どもと絵本>の現象学』(風間書房)などがある。