子どもが楽しく運動できる「ACP(アクティブ・チャイルド・プログラム)」とは?オススメの遊びをご紹介
子どもの運動不足が叫ばれている日本。「体を動かすこと」自体がなかなか難しい環境の現代で、その問題を解決すべく日本スポーツ協会が考案したのは“運動嫌いな子でも積極的に体を動かせる特別プログラム”「ACP(アクティブ・チャイルド・プログラム)」です。
今回はその内容の一部をご紹介。ぜひぜひチェックを!
今の子どもは昔に比べて「動かない」って本当?
「今の子どもは運動が少ない」ってよく耳にしますよね~。でも、学校でも遊んでいるはずだし、けっこう動いてるんじゃないの? ……なんて思った私ですが、実は今の子どもを取り巻く環境自体が、昔に比べてかなり変わってきているようです。
・塾や習い事がある
・公園が遠い
・近所に子どもが少ない
・目の前が車通りの多い道路
・手軽に楽しめるYouTubeやタブレットがある
などなど、子どもたちを運動から遠ざけてしまう要因はたくさん。
子どもたちが体を動かせないのは、もはやどうしようもないことなのかもしれませんね~。
■子どもたちの「1週間の総運動時間」はどれくらい?
スポーツ庁による「平成29年度全国体力、運動能力、運動習慣等調査」によると、小学5年生の1週間の総運動時間は420分未満が非常に多いという結果に。とくに女子では60分未満が11.6%! 単純に7日で割ると、1日に8分くらいしか運動してないということに……!
ただし、「積極的に運動する子」と「あまり運動しない子」が2極化していて、同じ年代でも体力の差は大きく開いている傾向にあるそうです。
子どもが「動かない」ことは深刻なの?
発育期の子どもは、
・心肺機能を中心とした呼吸循環系
・筋骨格系
・神経系や内分泌系
などさまざまな機能を発達させていきます。
しかしそのためには、成長の時期に合わせた「適切な身体活動」をすることが必要。また、子ども時代に体をコントロールするための「基礎的動き」を身に付けることは、その後の能力を伸ばすためにとても重要なんです。
■体を動かすことは「学力」を高めることにもつながる……かも!?
基礎的な動きとしては
・日常生活に密着した動作「立つ・歩く・持ち上げる」など
・自身の身を守るための動作「よける・転がる・水に浮く」など
・スポーツの基礎となる動作「走る・跳ぶ・投げる」など
があります。
しかし、平成28年度におこなわれた小学4年生男子・女子の「50m走・立ち幅とび・ボール投げ」の体力・運動能力調査のグラフを見ると、約30年前と比べてかなり水準が下がっている結果に。
日本スポーツ協会(JSPO)は、子どもにとって最低限必要な身体活動量を「1日60分以上」というガイドラインを提示しています。この活動に含まれるのは、
・体育の授業
・スポーツ活動
・ペットの世話
・家事の手伝い
など「体を動かすこと」全て。とにかく“体を動かす”ことから始めることが大切、というワケですね。
■楽しく動いて「学力アップ」? その理由とは?
上記のような運動・動作は“学習能力(学力)”を高めることにつながる……という意見もあるそうですが、体を動かさないことによりその機会も失ってしまっている危険性も。
「運動すること」と「学力」については、
・どのように体を使えば上手くいくのか
・相手の動きに合わせて自分の動きをどう工夫するのか
など「考えて工夫する」ことが学習にも活かせるようになる、というもの。また、それは「社会に出てからの生きる力」にもつながるそうです。
「ACP」で“基礎的動き”を身に付けよう
スポーツを知り尽くしたJSPOが考案した“子どもたちが楽しみながら積極的に体を動かせる”プログラム、それが「ACP(アクティブ・チャイルド・プログラム)」です。ACPの目的は“遊び”体験を通して体を動かすだけでなく、「自発的・積極的に人と交わり協調性を育て、心理的・身体的な成長につなげる」というもの。
ACPは現在
・小学校
・スポーツ少年団
・体育、スポーツ協会
・医療機関
などで取り入れられており、全国各地の多くの子どもたちに取り組まれています。
楽しく運動ができる! ACPの“3つ”のポイント
①好奇心や面白さによる「動機付け」
「面白そう!」と感じたものはやってみたいのが子どもたちですよね。また、能力差などにより「最初から結果が見えるもの」には興味を惹かれない傾向も。だからこそ「競争・スポーツ」というよりも「遊び」の側面が強いACPは楽しみやすいのかもしれません。
②動きの質(できばえ)を観察・評価
自然な遊び・運動で上手に力をつけていくことが難しい現代の子どもたち。だからこそ、大人がしっかりと子どもの動きを観察し、その子に合った“遊び”を教えてあげる必要があります。子どもが多様な動きを身に付けられるよう、しっかりと子どもたちに注目しましょう! ちょっと責任重大ですね~! ンフフフフ……☆
③動きたくなる“場”や“しかけ”の重要性
子どもが活動的になるかどうかは、子どもを取り巻く人的環境、つまり友達や保護者、先生や地域の人々との関係で決まる……といっても過言ではないそう!
なかなか難しいけれど、できるだけ「今、できること」について考え、行動していくことが大切かもしれませんね~。
子どもを動かす「ACPプログラム」ご紹介!
さまざまな遊びがたっぷり詰まっている、ACPの「遊びプログラム」。その中から「鬼遊び」や「かくれんぼ」などの昔から伝わる“伝承遊び”と、お家にあるものを使って簡単にできる「お手軽遊び」をご紹介します。
もちろん対象年齢に関わらず、やりたい遊びをやりたいだけ楽しめばOK!
兄弟姉妹で、親子で、お友達みんなで。思いっきり楽しみましょう♪
『伝承遊び』
けん玉やコマ遊びなど、昔から伝わってきた「伝承遊び」。集まった人数に合わせて、
・何をして遊ぶか
・どうすればみんな楽しめるか
など、子ども同士で相談しながらルールを工夫できるのが大きな魅力です。
準備するものも少ないので、学校の休み時間や放課後など、どこでもすぐに遊べるのもメリットですね!
■押しくらまんじゅうオニ【小学生向け】
【遊び方】
①人数に合わせて適当な大きさの円を描く。
②オニを数人決めて、オニは円の外に、他の子は円の中に入る。
③「押しくらまんじゅう、押されて泣くな」のかけ声のもと、子どもは全身を使ってお互いを背中で押し合う。
④オニは円の近くまで押し出された子をタッチする。タッチされた子はオニとなり、円の外へ出る。
⑤オニにタッチされなくても、円の外に出てしまったり尻もちをついた子はオニとなる。
⑥最後まで円の中に残っていた子が勝ち。
う~ん、バトルロワイヤル感!!!(笑)
子どもに危険のないよう、「両腕は胸の前で組む」「コートの中で誰か転んだらすぐコート外に出す」など注意点もいくつかあります。円を小さくしてみたり、いびつな形にしてみたりしても面白そう!
こちらに関連する「体力要素」は、
・筋力
・筋持久力
だそうです。
■おっとっと【小学生向け】
【遊び方】
①タオルを2本用意する。
②足を肩幅に広げて、相手と向かい合って立ち、タオルの両端をしっかりと持つ。
③足を踏ん張りながら、タオルを引いたり緩めたりしながら相手のバランスを崩す。
④足が動いたり、タオルを放したりしたら負け。
こちらのルールは「危ないのでタオルを両方同時に放すのは禁止」など。
両足の幅を狭くしたり、3~4人組で遊んだりしても!
こちらに関する「体力要素」は、
・筋力
・平衡性(一定の姿勢を保つための身体能力)
・巧緻性(手先の器用さ、巧みに指先を使う能力)
だそうです。
『お家でカンタンお手軽遊び』
大人にとっては簡単&単純そうに見えるものが、幼児にとっては最高に面白い遊びだったりするんですよね。子どもが楽しんでいるところからさらにアレンジを加え、徐々に遊びを発展させてみても♪
ポイントは「いろいろな動きの組み合わせ」だそう。幼児期は多様な動きを身につけやすい時期なので、一見スポーツには関係なさそうな動きの経験などが非常に重要なのだそうですよ!
■新聞紙を使った遊び【3歳~6歳向け】
こちらは「新聞紙」という非常に身近な素材を使った遊びです。ガサガサ、ビリビリ、いろんなものを表現できる新聞紙は子どもの遊び道具にうってつけ!
重ねて強度を出したり、長い棒を作ってみたり。ヒラヒラの新聞紙を思いっきり叩いたり、ボールを投げて破ったりしてみましょう。
また、応用編として
・軽く丸めて投げた新聞紙をよける遊び
・新聞を広げた上でじゃんけん、負けたら新聞紙を半分に折っていく
などの遊び方もあります。
新聞紙以外にも、タオルやハンカチ、レジ袋などを活用してみても。
■模倣遊び【3歳~6歳向け】
模倣(表現)とは、人と同じ動きや反対の動きをマネすることで、動きや表現のバリエーションを多く経験することができます。1対1で他者との関わりを深め、1対多数での遊びに発展させることでコミュニケーションを図る……という狙いがあるそう! ふ、深い!!!
応用編として、
・1人が丸くなり1人が転がす「おいもリレー」
・最初は全員同じキャラでじゃんけん、勝った人だけ進化していく「進化じゃんけん」
などの遊びかたも。
模倣の活用編としては、年上のお兄さんやお姉さん、スポーツ選手の動きのマネなどをやってみても。普段やらない動きのマネなどもオススメです。
経験した事のない動きや慣れない動きは“ふだん使わない側(右利きなら左手)”の動きを経験することにつながったりも。
ACPには、他にも楽しい遊びが盛りだくさん!
その他、
・ひよこの闘い
・王様だるまさんが転んだ
などや、
・ボールを使った遊び
・どんじゃんけん
などさまざまな遊びがた~っぷり! 「大根抜き」や「どんじゃんけん」などは幼稚園などでやっているところを見たことがありますが、子どもたちは大はしゃぎでとても楽しそうでした(笑)
大人が気をつけたいこととしては、
・運動遊びをする前には簡単なストレッチなどで体をほぐすことを伝える
・できないことができるようになったときはしっかりと褒める
・他の子と比べない
などがあります。
とにかく大切なのは「子どもが楽しんで遊べる」こと! 1日のうちのほんの少しの時間でもいいので、まずは「こんな遊びがあるよ~」と提示するところから始めてみてはいかがでしょうか? ハマれば子どもなりに考えて遊び始めるかもしれません。
子どもの成長を楽しく促す「ACP」。ぜひぜひチェックしてみてくださいね~!
ACPの詳細はこちらからチェック!
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