1.子どもに片付けなさいは無茶ぶり!?
ほとんどのママが毎日子どもに向かって叫んでいるセリフ。そう、それは「片付けなさい!」でしょう。そして一度言って、はい、わかりましたと片付ける子どもはほぼ皆無ですよね。ママたちは、このセリフを2回ないしは3回叫んで、子どもはやっと片付け始めるか、もしくは結局ママが「手伝ってあげるから」と言いつつ片付けるか。散らかすのは得意なのに、どうしてこうも片付けないのか、多くのママが悩んでいます。
実践女子大学生活科学部教授の松田純子さんが次のようにおっしゃっています。
大人にとっては難しいと感じなくても、『散乱したモノを、分類・整理して、あるべき場所に収納する』という一連の行動は、子どもにとってハードな作業なのです。漠然と『片づけなさい』と言われても、子どもはどうしたらいいか分からない。
出典:dual.nikkei.co.jp
「自分で出して遊んだオモチャなのだから、自分で全部片づけなさい」というのは大人の論理でしかない。子どもからすると、発達段階を超えた“無茶ぶり”なのだ。
出典:dual.nikkei.co.jp
そうなんです。片付けは、実は高度な作業。よくよく考えると、大人でも片付けや整理が苦手な方っていますもんね。子どもたちは、片付けるのが嫌なのではなく、どうやって片付けたらよいのかわからないのです。
2.お片付けの重要性
じゃあ、子どもにお片付けはさせなくてよいか。それは違います。お片付けは、子どもの成長過程において、とても重要な役割を持っているんです。
子どもは、何をどこにどんな風に入れればうまく収まるか、綺麗に見えるか、早く終わるかなどを考えながら片付けることで、創造性や、論理的思考を伸ばしていくことができます。また、必要なもの、不必要なものを自分自身で取捨選択することで、決断力や、判断力も養うことができるのです。片付けの目的は部屋を綺麗にするということですが、子どもに片付けをさせることは、目的以上に意義のあることなのです。
3.子どもにお片付けをさせる際のポイント
では、子どもにお片付けをどのようにさせればいいのか。松田純子さんは、次のようにおっしゃています。
負担のない量にすることで、子どもに『片づけができた!』という達成感を与えることがポイントです
出典:dual.nikkei.co.jp
そう、年齢の低いうちは一から十まで子どもにやらせるのではなく、親が手助けをすること、うまく片付けられる仕組みをつくってあげておくことが重要なんです。
4.お片付けできる仕組み作り
では、子どもがうまく片付けられる仕組みとは、どんなものがあるのかご紹介します。4歳の女の子双子がいる我が家でも実践している仕組みです。
我が家の双子は、お風呂に入るまえ(一日の終わり)と、出かける前(幼稚園は除く)は、出しているおもちゃを片付けるお約束にしています。現在、「お風呂の時間だからそろそろ片付けるよ~」というと、二人で片付けをします。どんなに散らかしていてもだいたい5分で元通り。急いでいるときなどたまに、わたしが手伝う時もありますが、ほぼ子どもだけで片付けることができます。
①ジャンル別収納
プラレールならプラレール、ブロックはブロック、戦隊ものは戦隊ものと、一つのボックスに一つのジャンルごとにおもちゃを収納していく方法がおススメ。同じ入れ物をジャンルの数だけ揃えましょう。おもちゃの入っていた箱はきっちり入れないと蓋が閉まらなかったりと、使いにくいです。おもちゃの入っていた箱に収納することは子どもには難しいのです。一つのジャンルごとにしまう作業は、わかりやすく、ゲーム感覚でお片付けすることができます。「この入れ物に、ブロックを集めてしまおうね~」と声かけしてあげれば、小さい子どもも、片付けに参加し、片付けられたという達成感を味わうことができます。
②ラベリング収納
①のジャンル別収納に欠かせないのが、ラベリングをすることです。ラベリングとは、中に入っているものを誰が見てもわかるようにラベルを貼る作業のことですが、ラベルは、文字だけでなく、写真や絵や記号でもかまいません。文字が読めない子どもには、写真やイラストでラベリングしておけば、おもちゃを片付けるときも、出すときも一目瞭然です。ラベリングすることで、お友達が遊びにきたときも、お片付けが簡単になるというメリットもあります。
③ワンアクション収納
リビングなどの共有スペースで、おもちゃが散乱してしまうというご家庭におススメなのが、ワンアクション収納。放り込むだけのお片付けです。バスケットのような入れ物を用意して、いつもリビングで遊ぶおもちゃは、そこに片付ける仕組み。リビングに持ってきたおもちゃを、子ども部屋に持っていって片付けてという作業は、小さい子どもには難しいのです。そばにただ放り込むだけの入れ物があれば、一人でも片付けることができます。散らかした場所を綺麗にできたという達成感は、お片付けの喜びにつながり、習慣として定着する手助けになります。
5.お片付けの達成感を与えるお遊び
お片付けの楽しさや喜びを知ることで、習慣化につながります。遊びながら、お片付けの楽しさを味わうことができたらいいですよね。
①音楽をかける
我が家でよく実践しているお片付けの方法が、音楽が鳴ったら片付けるという方法。CDでも鼻歌でも構わないのですが、さぁお片付けだよーという掛け声とともに、アップテンポな曲をスタート。なぜか音楽がかかっていると、スピードアップするんです!曲が終わるまでに片付けてよーなんて言いながら、歌を口ずさんだり。子どもたちは、一生懸命にせっせと片付けています。
②洗濯物お片付けゲーム
洗濯物たたみだって、小さいうちから楽しいお片付けの一環として参加させれば、面倒くさいものという認識はなくなるはずなんです。我が家の双子は、洗濯物たたみをこぞってやりたがります。畳み方は少々雑だったり、間違っていたりしますが、今はキチンと畳むことよりも、洗濯物をお片付けする楽しさを覚えてもらう方が先だと思って目をつぶっています。
洗濯物の仕分けから始めましょう。パパのもの、ママのもの、子どものものと仕分けをゲーム感覚でしてもらいます。そして、自分の洗濯物を畳んでもらい、できたら、定位置にしまうまでを任せます。年齢ごとに、できるところまでをやってもらうようにしましょう。できたときは、褒めてあげることも大切です。ママに褒めてもらった、ママが喜んでいるという感覚が、お片付けの喜びや楽しさにつながります。
しまう定位置には、ラベリングをして、子どもが一人でもしまいやすい工夫を忘れずに。
お片付けには、子どもの人生において様々な力へとつながる要素があります。子どもがお片付けをしないと悩んでいるママ、自分で片付けた方が早いと思っているママ、少しお手伝いをしてあげることで、子どもの片付けの能力を伸ばすことができるんです。子ども部屋などの収納を、今もう一度見直してみませんか?