子供と一緒に命の意味を考える『わすれられないおくりもの』【おすすめ絵本】
先日、私たちと同じく子育て世代の母親である小林麻央さんの悲しい知らせが届きました。生きることの意味、死とはどんなものなのか、命とは。子供たちと一緒に考えさせられる一冊を、ご紹介したいと思います。
『わすれられないおくりもの』 スーザン・バーレイ著
賢くて、なんでも知っているアナグマは、村の仲間たちからとても信頼され、頼りにされていました。みんなアナグマが大好きでした。ただアナグマはもう年をとっており、自分が死ぬのはそう遠くないことを知っていました。残していく友達か悲しまないか、それがとても気がかりでした。
ある秋の終わり、アナグマはすばらしい夢を見ます。体が軽くなり、長いトンネルの中を昔のように走りながら駆け抜けて行く夢です。
「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」という手紙を残して、アナグマはトンネルの向こうへ行ってしまいます。
森の仲間たちは、アナグマを愛していましたので、とても悲しみました。その夜雪が降り積もり、冬が来ました。仲間たちは雪の中、悲しみにくれたのです。
やがて春が巡って来ました。森の仲間たちは地上に出て、互いにアナグマとの思い出を語り合います。アナグマがみんなに残してくれた知恵やくふうという宝物、「わすれられないおくりもの」について…。
子供たちと読んだ親御さんたちも、色々な感想を残してくださっています。
友人から薦められ、まず自分で読んで号泣。妻と読んで号泣。子供達に読み聞かせながらも詰まってしまう。絵のすばらしさと心に響く翻訳。忘れかけていた繋がりが暖かく湧き出てきます。今この時代の全ての人にお薦めしたい1冊です。
出典:www.amazon.co.jp
生き物が生きて、そして老いていく、いつかは死んでいく。生き物の宿命だけど、それはただ死に向かって生きていくだけじゃないんだ。とこんな本を読んだら、思うと思います。アナグマさんは、こんなにたくさんの贈り物を残してくれました。誰でもできることじゃなくて、アナグマさんだから、残せたもの。私たちも、自分だから贈れるたくさんの贈り物が残せたら充実した人生と思えるでしょうね。老いることも、死に行くことも、あたたかい気持ちで受け入れることのできるお話です。
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去年、義母が亡くなり、そのことを教えるために探して購入。当初は興味を持ちませんでしたが、数ヵ月後突然「よんで」と持ってきました。読んでいると、悲しいけれどじんわりと温かいものが心に湧いてきて、私の方が涙が止まらなくなってしまいます。本当に、こんな風に亡くなった人の想いが残っていくとしたら、どんなにいいだろうと思います。身近な人の死を教えるにはとても良い絵本だと思います。
出典:www.ehonnavi.net
1人の同世代の女性の死を通して、家族とは、夫婦とは、命とは…を考えさせられた方も多いと思います。私もその1人でした。自分自身が、家族や子供たち、そして友人たちにも残していける贈り物はなんだろう。それが命が綿々と繋がって行くということの意味なのだろうか。そんな問いへの答えが、少し見つかるような気がしました。お子さんと「わすれらないおくりもの」を読みながら、命の意味、生と死について、ぜひ一緒に感じてみてください。