どこでも授乳OK!「授乳権」が法律で認められる海外母乳育児の今
公共の場での授乳、その賛否や理解度については度々議論されていますよね。イギリスでは、ついに母親が授乳する権利が法律で認められました。ロンドンでの授乳事情、人々の実際の意見とあわせ現地ロンドンよりお届けします。
イギリスではみんな好きなところで授乳!
というか、授乳室がない!
息子が生後6ヶ月になりたての時に渡英した筆者。外に出かける時に困ったのは「授乳室がほとんどない!」
そもそも外出先でのトイレの数自体が日本より圧倒的に少ないのですが、「授乳室のある施設を探して行動する」といったことはほぼ不可能。
皆どこで授乳しているのか非常に不思議でした。
カフェ、公園、皆自由に授乳
しばらく生活してみてわかったのは、皆わざわざ授乳室に行かずに授乳しているということ。
カフェやレストランでも皆普通に授乳しています。そして、授乳用のケープもあまりお見かけせず、洋服の一部や赤ちゃん自体でうまく隠しながら授乳しています。
私も、カフェでやってみました。特に問題なし。
日本から授乳ケープを持ってくるのを忘れたこともあり、授乳服のみで街中で少し隠れながら授乳していました。
飛行機や電車の中でも実践。
「授乳権」が法律で保障されるイギリス
イギリスでは2010年に「平等法」という法律が改正されました。
これは人種、性別、職種、宗教などあらゆる差別を項目別に禁止する法律ですが、その中に妊娠・出産も含まれています。
具田的な禁止事項として、「女性の不利益な取扱には、女性が授乳中であることを理由とする当該女性の不利益な取扱を含む。」というのが条文ですが、これはあらゆる公的機関、場所、サービスで授乳を拒否できないということ、母親は法律でどこでも授乳をする権利が法律で守られていることを意味します。
これはお店やサービスの大きさにはかかわらず、あらゆるレストラン、ホテルなどでで保護されています。
もちろん病院、劇場、映画館、ガソリンスタンドなどの場所でも同じ。場所を問わずに自由に授乳する権利が認められているのです。
職場でも学校でも母乳育児OK
この「授乳権」は職場や学校でも同じこと。
現在、母乳育児を理由とする有給は認められていませんが、一部の議員達が企業に女性が有給で授乳できるように法改正を求めています。
また、高校や大学においても授乳中の学生を差別したり、嫌がらせをすることも法律違反。
イギリスの母乳育児率は世界的にも低い
液体ミルク派が多数
イギリスの母子手帳には「生後半年までは母乳育児が望ましい」と書かれていますが、筆者のまわりで母乳育児をしている海外ママはあまりいません。
赤ちゃんやこどもを教会のスペースで遊ばせるプレイグループに行っても、液体ミルクを赤ちゃんにあげているママがほとんど。
イギリスは、ヨーロッパ諸国の中でも母乳育児の割合が低く、生後半年を過ぎても母乳育児を続けているのは2割程度というデータも。
いまだに、誰もがウェルカムなわけじゃない
しかし、テレビや新聞ではこの「公共の場での授乳」についてはいまだなお議論が行われています。
こちらのママ向けメディアにも、「法で守られた権利なので訴訟も起こせるが、高額になることもあるのでおすすめしない」とあります。
イギリス政府が行ったアンケート調査によると、7割以上の人がレストランや公共交通機関など公の場での授乳を支持すると回答していますが、実際自分が遭遇した時に受け入れられるかという質問にイエスと回答した人は半数。
イギリスでも実際は、外での授乳に気まずさや困難を覚えるママはまだまだ多数いるのです。
筆者のアメリカ人ママ友は、第一子をアメリカで生んだ際、公共の場での授乳が申し訳なさすぎていつもトイレの個室で授乳していたと話していました。
オープンで寛容なイメージのある海外でも、授乳をする母は時に肩身の狭い思いをするのは同じなのです。
授乳問題の本質はイギリスも日本も同じように感じます。
しかし、法律や条例で守られていると、授乳をするママ側も受け入れる側もやりやすいですよね。
ミルクでも母乳でも、全てのママたちが気軽に安心して外出を楽しめることを願って。