政府が掲げる「女性活躍推進」を受け、企業でもワーキングママが働きやすい制度・環境を整備のする動きが活発化しています。「テレワーク(在宅勤務)制度」を導入した企業のニュースも目にするようになりました。しかし、取り組みがなかなか進まない企業が多数派であるのも事実。皆さんの中にも、「うちの会社は体質が古くて無理…」「中小企業だから、大手のようにはいかない」などと、あきらめている方が多いかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか。
経営者や人事担当者の話を聞いていると、「やらなくてはならないと思っているが、何から手をつけていいかわからない」という声はとても多いのです。ワーキングママたちが何を求めているかがわからず、手をこまねいているうちに時間だけが過ぎていっている、というわけです。だから、ワーキングママのほうから「こうしてください」と働きかけることで、意外とスムーズに動き出すかもしれません。「どうせうちの会社は」とあきらめる前に、声を上げてみてはいかがでしょうか。
成功のポイントは、次のとおりです。
●他社の成功事例を示し、自社にも合いそうなものを提言する
「働きやすさ」を追求している先進企業では、以前からさまざまな制度や工夫が試され、成果も挙がっています。例えば、働ける時間に制約があるワーキングママを意識して、全社的に労働時間削減の取り組みを行った結果、むしろ生産性が高まり、コスト削減にも成功している企業も複数存在します。
そうした先進企業の事例はWeb上などでも公開されていますので、そうした事例の中から自社にも合いそうなもの、無理なく導入できそうなものを提案してみてはいかがでしょうか。成功事例を見せれば、説得力があり、前向きに検討してもらいやすいでしょう。
●「~してください」ではなく「~してもらえれば、会社により貢献できる」と伝える
「こういう制度・仕組みを導入してください」と一方的に要求するのではなく、それを導入したことによる「会社側のメリット」を提示しましょう。「会社からこういうサポートを受けられれば、私たちのパフォーマンスが上がり、会社に貢献できる」というように。
私の場合は、営業職でしたので「事務作業を担う専属アシスタントをつけてもらえば、その分、顧客開拓に専念し、売上を上げてみせます」と会社に訴えました。それが認められ、実際、営業活動に集中したことでアシスタントの人件費を十分カバーできるほど、売上を増やすことができたのです。
また、「私をトライアルとしてください。うまくいったら全社に導入してはいかがでしょう」と伝えました。
「お試し」という形で提案すれば、会社側も一歩を踏み出しやすいもの。私が提案した「専属アシスタント」を置く体制も、後に全社に導入されました。
●「仲間」を集め、集団で声を届ける
社内で自分と同じ悩みや課題を抱えている人たちに声をかけ、皆で一丸となって会社に提言するのもいいでしょう。「数の力」を利用するのです。
私も、独自にアンケートを作成し、社内のワーキングママや妊娠中の女性から「悩み」「要望」の声を集め、リポートにまとめて経営側に提出しました。その結果、ワーキングママが働きやすい制度や環境を検討するプロジェクトが立ち上がったのです。自分1人だけでは声が届かなくても、多くの人が一斉に声を上げれば、会社を動かせる可能性があります。
―― 「働きやすい環境は、与えてもらうのを待つのではなく、自分で築き上げる」。そんな気持ちで、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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■森本千賀子 (株式会社リクルートエグゼクティブエージェント)
1993年、リクルート人材センター(現:リクルートキャリア)に入社。法人向け営業として新規顧客開拓を行い、入社1年目から営業成績1位、全社MVPを受賞。以来20年以上、トップクラスの業績。現在はリクルートエグゼクティブエージェントに在籍し、経営幹部層の採用支援、転職支援を手がける。12歳6歳の2児の母でもある。
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