コロナ禍って書いていいの?葬儀の専門家「大野屋」が教える【喪中はがき】の出し方・書き方マナーとは?
仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋は、お墓やお葬式、お仏壇に加え、仏事のマナーや季節行事のしきたりにいたるまで様々なシーンで皆様のご供養の気持ちをサポートし、ご相談にお応えしています。
一般的に12月上旬までには送付が必要な「喪中はがき」について、書き方や注意点をご紹介します!
「忌中」「喪中」とは?
近親者が亡くなった場合に一定の期間、故人の死を悼み喪に服す期間のことを「忌中」や「喪中」と呼びます。
それぞれ身を慎む長さが異なり、例えば父母の死亡に際しては「忌中」は七七忌(四十九日)まで、「喪中」は一周忌(一年間)までが一般的です。
「忌中」や「喪中」のしきたりも、現在ではその多くが簡略化されていますが、結婚式や祝賀パーティ、落成式などの慶事(祝い事)には、たとえ招待を受けたとしても、少なくとも「49日忌」までは見合わせたほうが無難です。
神社への参拝や、お祭りへの参加も慎むようにします。
また、喪中に年を越す場合には、門松・しめ縄・鏡餅などの正月飾りを控え、初詣や年始まわりなども控えるのが基本です。
「喪中はがき」は12月上旬までに送付がマナー!
「喪中はがき」は、『年賀欠礼』と呼ばれ、喪中のしきたりの一つです。
自分の身内に不幸があったため、年賀状による挨拶を控える旨をお知らせするご挨拶状です。
年賀状のやり取りをしている相手には、先方が年賀状を用意する前に届かなくてはいけないため、遅くとも12月の上旬までに送付するのが一般的なマナーです。
”親等”による異なる判断基準…自分は「喪中はがき」を出すべき?
故人が配偶者や1親等(父母、子供)は〈喪中はがきを出します〉
両親・配偶者・子供が亡くなった場合は、ほとんどの方が1年間を喪中とします 。
故人が2親等(祖父母・義祖父母・兄弟姉妹・義兄弟姉妹)は、場合により〈自身で判断〉
一般的には、兄弟の場合は亡くなって90日、父方の祖父母は150日、母方の祖父母は90日と服喪の期間が異なります。
最終的には「同居していたか」「別居だったか」「生前の親交の度合い」「いつ亡くなったか」によって、自身で判断しますので、特別にお世話になっていたというような場合には、服喪期間が過ぎても喪中にされる方もいます。
故人が3親等以上(曾祖父母、伯父叔母、いとこ)は〈喪中にしない場合が多い〉
多くの場合、喪中とはしませんが、同居していたり、親交が深かった場合は喪中にすることもあります。
「喪中はがき」は誰に出すべき?
大野屋では、葬祭業界初となる「テレホンセンター」を1995年に開設し、25年にわたり現在もお客様の困り事を解決し続け 、2019年12月で問い合わせ件数はのべ35万件を超えました。
中でも年間でも問い合わせが多くなるのが11月~12月の「喪中はがき」です。
当社が2018年に実施した調査では、「喪中はがき」で分からないことの上位は、「友人、知人関係のどの範囲まで出すべきか」(24%)、「葬儀に来た人にも喪中はがきを出すのか」(20%)と、約半数の方が誰に出すべきかが分からないことが分かっています。
「喪中はがき」を出す基準は、“毎年、年賀状を出しているか”
喪中はがきは、「死亡通知」ではなく「今年は年賀状を控えさせていただきます」という挨拶状(お知らせ)のため、どの範囲まで送付するかは「毎年、年賀状を出しているか」で判断すると良いでしょう。
例年年賀状でやりとりをしていない方には、あえて送付する必要はございません。
友人・知人
年賀状のやりとりがなければ、あえて喪中はがきを出す必要はございません。
仕事関係の方
取引先など「会社名」で年賀状を出す場合は、喪中という概念がないため通常通り年賀状を出して問題ございません。
喪中はがきを出すとかえって余計な気を使わせてしまうケースもありますので、仕事は公と考えて、出さないのが通例です。
葬儀に参列された方
葬儀に参列され、既に亡くなったことをご存知の場合でも、例年年賀状を出しているのであれば喪中はがきをお送りします。
葬儀に参列した親族の場合も基本的には同様ですが、親戚間で話し合い、お互いに喪中はがきを出さないと決めるケースもあるようです。
故人が年賀状のやりとりをしていた方
毎年年賀状をやりとりをしている方宛に、故人に代わりご自分が差出人になり喪中はがきを出します。
文面は「父母が●日〇歳で亡くなりました。生前は大変お世話になりました」と書きます。
夫婦連名で毎年年賀状を送付している場合は?
毎年夫婦連名で出している場合、ご主人を主体として文章を書くのが一般的です。
例えば妻の身内に不幸があった場合、「義父が●日に亡くなり、喪に服しているため本年は新年のご挨拶を遠慮させて頂きます」と記載します。
「喪中はがき」の正しい書き方
喪中はがきを出す際、以下の3つを盛り込んだ文章が望ましいです。
① 前文挨拶(時候のご挨拶)
② 喪中のため年賀状を出さない
③ 良い年をお迎えいただきたい
注意点
・誕生日、引っ越し、結婚など「おめでたいこと」や「近況報告」は併記しない。
・誤って「年賀はがき」を使用しない。
・胡蝶蘭などの「弔事用の切手」を使用する(寒色系の比較的地味な記念切手は使用して問題ございません)
・パソコンのソフトで作成される場合は、色は黒・濃い墨で、筆の書体を推奨、あまりに派手なデザインやフォントの使用は控える。
「喪中はがき」が12月上旬に間に合わない場合は「寒中見舞い」
年末に親族に不幸があった場合や、『喪中はがき』を出す余裕がなかったり、出さなかった相手から年賀状を頂戴してしまった時には、お正月が明けた段階で『寒中見舞い』を出します。
1月8日以降に出す場合は、喪中はがきは使用しません。
この場合、以下2点に注意しましょう。
① 年賀状をいただいたお礼
② 喪中であったために年賀状を出せなかったこと
もし年賀状を送った後に、身内に不幸があった場合
・お正月明けに年賀状をいただいた方に 「 寒中見舞い 」 を送付します 。
・場合によっては1年返信をせずに過ごし、次の年末に「喪中はがき」を出すなど、対応が分かれます。
「喪中はがき」を受け取ったらどう返す?「喪中見舞い」の返し方
「喪中はがき」が届いたら、「喪中見舞い」を返します。
「亡くなられた事を知っている場合」「亡くなられた事を『喪中はがき』で初めて知った場合」によって、内容が異なります。
亡くなられた事を知っている場合
喪中の方はさびしい年末年始を過ごしていることでしょう。
年賀状は控え、挨拶状をいただいた御礼のお返事を出すと丁寧です。
① ご挨拶状をいただいた御礼
② ご遺族がさびしい新年を迎える事への慰めと励まし
③ こちらからも年賀状を遠慮させていただく
亡くなられた事を「喪中はがき」で初めて知った場合
① ご挨拶状を頂いた御礼と、ご不幸を知らずにいた失礼をお詫び
② お悔やみの言葉と慰めや励まし
③ こちらからも年賀状を遠慮させて頂く旨をお伝えします。
SNSやコロナ禍、年賀状じまい…近年多い問い合わせ
「喪中はがき」はメールやSNSで済ませても良いか?
喪中はがきは書面で送るのが基本的なマナーですが、普段から頻繁にメールやSNS上でやり取りしている相手なら問題ないでしょう。
しかし、毎年年賀状をやり取りしている相手や、メールアドレスや連絡先を交換したきり、連絡を取っていないような相手に対してはNGです。
若い方なら一般的かもしれませんが、お相手の世代や背景などを考慮し、相手との関係性や付き合いの深さによって判断するべきです。
2021年の年賀状・喪中はがきで注意するべき点は?
新型コロナウイルスの影響により、「コロナ禍」というワードが一般的になりましたが、「禍」は忌み言葉であるため、年賀状のようにおめでたいものには避けるべき表現です。
年賀状では「大変な1年でしたね。元気に来年お会いしましょう」など、なるべく新型コロナウイルスを直接記載しない方が良いでしょう。
また、特に今年は新型コロナウイルスにより、人と人との繋がりが分断されたしまったので、ハガキの文面で温かい言葉を送り合うことは大切だと考えています。
内容も「元気」「健康」を願う表現を多く使用し、相手を慮ることが重要です。
年賀状じまいとは?
大野屋に「相手に高齢や健康状態などの理由から、毎年年賀状を書くことができなくなり『今年で年賀状を辞める』旨を伝えたい」や 「受け取った方に失礼なく伝えるにはどうしたらよいか。」という問い合わせが増えています。
年賀状じまいを「年賀状の卒業」と呼び、相手とのご縁を断ち切るものではなく、前向きな卒業となるようアドバイスしています。
例えば年賀状の文章に以下の入れて相手に伝えます。
① 終える理由を明確に
「高齢になり、筆が持てず年賀状を書くことに限界がきているため、今年いっぱいにさせていただく」など。
②末尾に相手を思いやる表現を
「これで年賀状は終わりますが、末永く幸せに過ごさせれることを祈ってます」など。
喪中の際のお歳暮について
お歳暮はその年お世話になった御礼で、感謝の気持ちを贈り合う慣習です。
「お祝いごと」ではないため 、 先方が喪中でもお送りしても問題ございません。
ただし、紅白の水引は使用せず、白無地の短冊を使い、表書きは「お歳暮」とします。
またご不幸があったばかりの場合、忌明け四十九日までは遠慮した方が良いでしょう。
忌明け後まで待つとお歳暮の時期を逃してしまう場合は、松の内が明けてから1月8日以降に「寒中見舞い」として贈ることも推奨します 。
なお、ご自分(贈り主)が喪中の場合には、先方に不幸があったわけではありませんので、普段通りお歳暮を贈って問題ありません。
ただ相手先によっては、死を「穢れ」と考え、喪中の人(「穢れ」のある人)からの贈り物を気にすることもあります。
その場合にはやはり四十九日を過ぎてから水引を掛けずにお贈りします。
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