どうなる?!『英語教育』改革骨子のポイント解説【新学習指導要領より】
今、学校における英語教育が大きな転換期を迎えています。文部科学省が進めている英語(外国語)教育改革は、どのように変わっていくのか?新学習指導要領に基づいて、4つのポイントを解説したいと思います。
(1)到達目標が高くなる!
まず英語教育の各段階(小学校・中学校・高校)での到達目標の基準が変わります。CEFR(セファール)という聞き慣れない基準に基づき、英語4技能(読む・聞く・書く・話す)の能力を高めるような教育目標が掲げられています。
CEFR(CEFR)って?
CEFR(セファール)。聞き慣れない言葉ですよね。TOEICやTOEFLなら聞いたことあるけど…という方がほとんどではないでしょうか?CEFRとは『ヨーロッパ言語共通参照枠』と日本語では訳されます。多言語が行き交うヨーロッパで、その言語がどれくらいの語学力(コミュニケーション力)があるのかを、言語を超えて測定する尺度・基準として、2001年から活用されています。
A0レベル~C2レベルまでの7段階があり、この基準を元に、英語学習の到達レベルが測られるようになるのです。各段階のレベルについての説明は、NHK英語講座のページなどに詳しく載っているので、リンクをご覧ください。(ちなみに英語教育改革に伴い、NHK英語講座もこのCEFRで講座のレベル分けをしています)
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そして、現在の英語学習の習得単語数などのイメージから言うと、現在高校卒業時点でのCEFR到達レベルはA2とB1間くらい(3段階と4段階の間)のイメージなのに対し、新しい新学習指導要領ではB2レベル(5段階目)、英検で言うと準一級レベルまで引きあがる、というイメージになります。
また、このCEFRの英語4技能(読む・聞く・書く・話す)に加えて、「発表する」力も項目として加えられていて、全部で5技能で目標設定がされるようになります。
(2)2020年度から完全実施?!『小学生英語』
英語というと、いわゆる中学生からの勉強科目?というのが親世代の認識ですが、どうやら現代では大きくその認識を変えなくてはならない局面に来ているようです。2020年度から小学生英語が完全実施予定なのです。
具体的に言うと、小学校3~4年生は『外国語活動』という名前で、週1時間年間35時間のコマ数が予定されています。ただし教科ではないので、通知表などでの評価は行いません。コミュニケーション能力の素地を養うのが目的です。
一方、小学校5~6年生では『外国語科』ということで、教科化が行われます。週2時間年間70時間行われ、4技能(聞く・話す・読む・書く)が授業の中で取り上げられます。そして、通知表にものってくることになります。小学校卒業までに扱う語彙数は600~700語に設定されています。
(3)2019年度から移行措置期間へ!
2020年度から完全実施…ということで、2019年度は移行期間となります。つまり今の小学校高学年の子供たちは、中学校に入学すると、小学校で「外国語活動・外国語科」を勉強してきたことを前提とした教科書を使う事になり、高校入試の時点では新指導要領に基づいた新しい学習範囲に基づいて試験が行われるわけです。
これを聞くと、小学校高学年の親御さんはちょっと焦りますよね。すでに勉強してきた前提で、中学校での学習が始まる。ただ移行期間中ですので、まだ準備をすることは可能です。少し立ち止まって、どう準備をしていくか、子供たちと一緒に考えてみていただければと思います。
(4)「読む」「書く」「聞く」「話す」「発表」の目標設定
新学習指導要領を見ると、中学校も高校も「英語の授業は英語で行うことが基本」という項目があります。つまり、これまでのように「英語の文法」「語彙力」「知識」を問う評価だけではなく、コミュニケーションに加えて発表なども含む、「英語を使って何ができるようになったのか」を重視する授業・成績評価へと変わっていく予定です。
勉強はできたけど、海外に行ってもしゃべれない、コミュニケーションができない日本人、という前提を超えていくことを目的としていることが読み取れます。
いかがでしたか?英語教育の現場が大きくシフトチェンジしていこうとしていることは、お伝えできたかと思います。勉強が大変になる、難しくなる、という恐れを感じた方もいるかもしれません。ですが、変化をただ恐れるだけではなく、新たなことを学ぶ機会、可能性ととらえて、ぜひ準備をしていってもらえたらな、と思います。