IQよりも“EQ”の時代。仕事に必要なEQは幼少期にしか育たない!?
頭が良いだけでは社会では通用しない!?最近の教育論では、IQだけでなくEQと呼ばれる能力も必要だとされています。EQっていったい何?どうやって育てればいいの?の疑問に対して、子ども向け教育事業に取り組む株式会社ハグカム代表・道村弥生がわかりやすく解説します。
学力や記憶力などのIQ(知能指数)に対して、
IQでは測れないコミュニケーション力や忍耐強さやセルフコントロールなどの性格や潜在能力のことを
「EQ(心の知能指数、英: Emotional Intelligence Quotient)」と呼びます。
頭の良さを示すIQよりも、EQの方が社会的な成功に結びつきやすいという研究結果も出ており、文部科学省の学習指導要領では「生きる力」という表現がされています。
仕事で活かされる5つのEQとは?
EQの種類は様々ですが、なかでも注目されているのは仕事や社会で必要とされるEQです。
論文では難しい言葉で書かれていますので、分かりやすく書くと以下の5つが最も大切であるとされています。
■好奇心(新しい知識や経験を追い求める)
■勤勉性(真面目に物事に取り組み、努力する)
■コミュニケーション力(積極性に富み、交渉なが円滑に進む)
■協調性(仲間と協力し、共感できる)
■セルフコントロール(精神を安定させ、緊張や逆境に強い)
確かに、「頭の良さだけでは仕事ができるとは言えない」というのは上記を見れば納得しますよね。
明治学院大学専任講師・李嬋娟による論文
幼少期の家庭環境やEQが、子どもの将来を決める
また、幼少期(特に小学校入学前)の家庭環境やEQが子どもの学歴、生涯年収、雇用形態、持ち家比率、犯罪率にも好影響があるという研究結果も多く存在します。
では、いったい幼少期でどのようにしてEQを高めればいいのでしょうか?
今回は「勤勉性」に特化して、これまでの研究結果を元に、今日からできる3つの方法をお教えします。
今日からできる「EQ」を育てる3つの方法
<その1>「勉強しなさい」は時間の無駄。勉強への関わり方を変える。
「学力の経済学」の著者で有名な中室牧子教授らによる研究結果によると、
①勉強するように言っている
②勉強する時間を決めて守らせている
③勉強を横について見ている
④勉強したか確認している
の方法のうち、「①勉強するように言っている」というお手軽なものに効果はない、という結果が出ました。
逆に、「③勉強を横について見ている」「②勉強する時間を決めて守らせている」という親が子どもへの勉強に深く関与する方法は効果が高いことも明らかになりました。
「忙しくて勉強を見る時間はなかなかとれない…」という方でも、最近は「リビング学習」という方法も注目されています。
一緒に勉強する時間を決めたり、同じ時間にお母さんも別の勉強をする、など関わり方は家族それぞれ考えてみてみてもよいでしょう。
<その2>「ご褒美」の制度を取り入れる。
アメリカの小学生を対象にした「ご褒美をあげるべきか」に関する研究結果です。
これはIQにも効果的と言えるでしょう。
①最初にお金を与えて、結果が出なかったら没収
②結果が出たらすぐにお金を与える
③結果が出た場合、お金をあげるのは1ヶ月後
④結果が出たらトロフィーをあげる
⑤何も与えない、励ますのみ
上記5つのうち、その後の学力に効果がなかったものは⑤と③。
ご褒美が先延ばしになると、何も与えない⑤と同じように効果がない結果となりました。
一方で効果が出たのは、①と②と④です。
やはり大人と同じく、子どももご褒美があったほうが頑張るようですね。
また、小学校低学年では、お金よりもトロフィーの方が効果が大きい結果となりました。
同じく5~7歳を対象にしたIQ検査では、1問正解するごとにチョコレートを1粒上げたほうがスコアが高かったという結果もありました。
「ご褒美をあげなくなると勉強しなくなるのでは?」という心配もあると思いますが、
その後の調査によると、学力が下がることはなかったそうです。
これらを参考に、ご家庭にあったご褒美の制度を取り入れてみてはいかがでしょうか?
<その3>家族のルールを一緒に決める。
勉強以外にも、寝る時間やテレビを見る時間など、子育てのしつけ方法にはみなさん悩まれていると思います。
上記の研究結果でもあったように、「親の関わり方の深さ」がとても大切なことは明確です。
また、「◯◯しなさい」と毎回言うのは大変ですし、エネルギーを使いますよね。
そんなときには、「家族みんなでルールを決める」という方法が効果的です。
最近でもTwitterで仲良し家族の家族会議の議事録が大反響となっていました。
もひかんさんことパパ、ママ、なごみちゃん(9)、かずとよ君(4)の4人家族は、月末に家族会議を開き、Twitterに議事録を投稿している。
この議事録は、9歳の長女が書いているそうです。
「子どもらが月ひとつだけでも何か目標が達成できたらと思い、始めました」
「4歳の長男も目標を達成しほめてもらえることに喜びがあるようで、結果的によかったです」
とお父さんが語っているように、家族みんなで目標を決める場をつくれば、子どもたちも自分でルールを決めることになり守る意識が芽生えます。
一方的に何かを制限したり押し付けるよりも、よほど効果的なことが分かります。
いかがでしょうか?
子どもの将来に必要なEQを育てるために、ちょっとした工夫を取り入れてみてください。
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■道村弥生(株式会社ハグカム代表取締役)
1984年生まれ。明治大学商学部卒。2007年に株式会社サイバーエージェント入社後、広告営業、子会社経営、プロデューサー、新卒採用・組織活性化など幅広く事業に従事。
幼少期の好奇心育成がその後の人間形成や人生に大きな影響を与えていると感じ、子供向けの教育サービス事業としてハグカムを設立し、2015年にサイバーエージェントより独立。
2020年に向けた英語教育改革を考慮し、子供のためのマンツーマン英会話「GLOBAL CROWN」を運営。日本人バイリンガル講師と毎日20分間おうちでレッスンができるため、英会話スキルだけでなくコミュニケーション力の向上にも効果が期待できる。
ハグカムが提供する「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」は毎日20分間、自宅で英会話レッスンを受けられるマンツーマン英会話サービスです。
子供のころの「できた!」という体験はかけがえのないものになります。送り迎えがなく、家族の愛情を感じられるおうち英会話は頑張るパパママの味方です。