キリスト生誕の瞬間を描くジオラマ模型、プレセピオ
イタリアのクリスマスって…
イタリア語ではクリスマスのことをNatale(ナターレ)といいますが、これは「生誕」という意味です。そして、
カトリック信者が約9割とされるイタリアでは、クリスマスは伝統的な宗教行事で、キリスト生誕を祝う最も大切な祭日のひとつ
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なんです。
そんなイタリアでは、イエス・キリストの生誕を描いたジオラマ模型を飾る風習があります。
それがプレセピオ!
プレセピオはそもそも、飼葉桶という意味。プレゼピオ、プレセーぺなどとも呼ばれます。
ベツレヘムの馬小屋で幼子イエス・キリストが生まれ、飼葉桶を揺りかご代わりにしたと言う聖書のお話から、その瞬間を表現したこの模型のこともプレセピオと言うようになりました。
聖母マリア、ヨセフ、東方三博士、受胎告知をした天使ガブリエルなど聖書のキリスト生誕に出てくる登場人物を中心に並べ、農夫や村人、羊(子羊はキリストの象徴でもあります)、馬、牛といった家畜たちをそろえ、厩や水車、洞窟、背景の山々なども組み合わせて作ります。
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プレセピオの歴史は古く、1223年のクリスマスに、アッシジの聖フランチェスコが文字の読めない人たちのために、森で本物のロバや牛などを使ってキリスト生誕の場面を再現して見せたのが始まり
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と言われています。
伝統的には、12月8日(聖母マリアの無原罪の御宿りの日)に飾りつけ、1月6日(東方三博士が来訪しキリストの誕生を祝した主顕節)を過ぎてから片付けます。
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キリストの人形は、12月24日のイブまで飾りません。12時が過ぎて25日に日付が変わったらその家の1番小さな子が、生誕を祝してプレセピオの中にキリストを置く、というのが風習です。
家庭用の伝統的なプレセピオは、こんな感じ。
お家によっては(たいていの場合はお祖父ちゃんが)、毎年気合を入れて、部屋の一角にパノラマ プレセピオを展開したりします。
文房具屋さんなどで売られているパーツや、背景の建物などに使えそうな材料を買い揃えて、年々大きくするんだとか。
友達のお家でも毎年、一家総出で飾り付けをしているそうです。
教会では…
祭壇や礼拝堂の一部にプレセピオを飾ります。
かなり大掛かりなジオラマ プレセピオもあちこちの教会で見かけます。
カトリック総本山、バチカン市国サン・ピエトロ寺院の前には実物より大きなプレセピオが登場。
ローマ、ヴェネツィア広場のプレセピオはモダンな光のアートです。
いろいろなプレセピオたち
THUNという陶器ブランドのプレセピオ。
オルゴール付きのプレセピオ ボックスもあります。
こちらはクルミの中に作られたもの。かわいい♡
クリスマスの伝統菓子パネットーネで作られた、食べられるプレセピオ。
いよいよクリスマス!この時期しか出回らない、美味しい伝統スイーツがいっぱいです♡中でも定番中の定番、パネットーネとパンドーロをご紹介します!
Playmobilというおもちゃのプレセピオもあります。
世界最古のプレセピオはローマにある!
それは、ローマ中央テルミニ駅すぐのサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂内。聖母に捧げられた重要な教会です。
中には、像で再現した最古のプレセピオがあり、牛とロバの頭部の石像を含む、東方の三博士の崇拝が表されています。
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1288年にローマ教皇ニコラウス4世の命で彫刻家アルノルフォ・ディ・カンビオが製作し、1291年に完成したもの
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だとか。700年以上前ということ!歴史を感じます。
ナポリにはプレセピオ通りも!
ナポリの下町スパッカナポリ地区のほぼ中心にある、サン・グレゴリオ・アルメーノ通りです。
ここは芸術性の高さで名高いプレセピオ・ナポレターノの職人街になっており、路地の両側には、プレセピオを扱う店が一年中開いている
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のです。
色々な人形はもちろん、家屋や動物などのパーツがバラ売りされていて、世界中から集まるプレセピオ マニアは大興奮。
伝統工芸品のお土産としてもおすすめです。
実写版の人間プレセピオ
オーナメントだけでなく、実際の人間が演じる実写版(笑)プレセピオもイタリア全土で行われます。
幼稚園や小学校の冬休み前の演劇会では、プレセピオが実演されたり。
南イタリアでは、旧市街の洞穴や古い建築を利用したプレセピオ イベントが有名。プーリア州のアルベルベッロでは、街中を舞台にしたプレセピオ ツアーが行われます。
トゥルッリと呼ばれるとんがり屋根の家屋が特徴的な町並みを、ベツレヘムの町に見立て、一軒一軒でパン屋や肉屋など伝統的な職人たちの生活模様を再現。
観光客はガイドとともに町を一巡し、深夜に教会でキリスト誕生の瞬間に立ち会うのです。もちろん本物の赤ちゃんが「出演」するそう。
参加してみたいですね!
カンタン手作りプレセピオ
日本でイタリアの伝統プレセピオを入手するのは難しいかも…。それなら、こんな風に手作りして見てください。
子どもたちと楽しみながら作れるマイ・プレセピオ。歴史や文化など、本来のクリスマスの意味を教えるきっかけにもなりますね。
このクリスマスには、ツリーにプラスして飾ってみてはいかがでしょうか?