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「子育てに正解はない!」反転授業の先駆者・田原真人さんインタビュー

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2020年の教育改革に向けて注目されている「アクティブラーニング」という新しい学びの形。その一環として何年も前から反転授業に取り組んでいらっしゃる田原真人さんにこれからの時代の教育・子育てにおける考えた方、あり方などをインタビューしました。
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■田原真人さんプロフィール

早稲田大学理工学研究科博士課程で生命現象の自己組織化について研究後、河合塾の物理講師になり、2005年に物理ネット予備校(フィズヨビ)を立ち上げる。反転授業との出会いをきっかけに、ピラミッド型の社会システムや教育システムに疑問を抱くようになる。自らの学び場を自分で創るために「反転授業の研究」を立ち上げ、4000人を超える活性化したコミュニティになる。著書『Zoomオンライン革命』を近日発売予定。国際ファシリテーターズ協会日本チャプター理事。

田原真人公式ブログ

■「フォアグラ型」教育

ー田原さんはご自身の書かれている記事の中で「フォアグラ型教育」についてお話しされていますが、少し教えていただけますか?

こういうことをやらせたら有利だという事が、社会の中にはいろいろありますよね。例えば、算数とか英語とかなんでもいいんです。
親はよかれと思ってそれを子供にやらせるんだけれど、子供にとっては苦しい場合もあるんです。
そういうとき、子供の心や体から「苦しいよ」というフィードバックが来る。

その一方で、親からは「これはあなたのためなのよ」「ガマンしてやるのがいいのよ」という愛情という言葉と結びついた言葉が来る。
その中で子供は葛藤状態になって、自分の中から出てくる「イヤだな」「つらいな」という心や体からのフィードバックを断ち切って「こうやってガマンしている自分はえらいんだ」という親や先生の視点を取り込んじゃう状態が起きるわけです。

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ーそれをフォアグラを作る過程に例えて「フォアグラ型」教育と呼んでいるわけですね。

それを続けていると、子供たちの内側から「本当はイヤだ」とか「苦しい」とかが出てくるんです。
すると、自分が取り込んだ親や先生の視点が自分を裁く、責めだす。「こんなことを苦しんでいてはダメだ!」と。それが自己嫌悪のタネになっていて、自己嫌悪が生まれる仕組みが作られていくんです。

その親の視点や先生の視点を取り込んでいる限り、その場で「正しい」とされていることしか話さないので、本当の対話にはならない。
「でも本当は苦しかったりするよね」という自分の身体の感覚と結びついた声がでてきたとき始めて、自分の言葉で話すことができるんです。子供たちの中で押さえつけられたものが、その時初めて出てくる。

■「子供たちが自分の感覚を信じて自転車に乗っていく」

-「フォアグラ型」教育の先に、今後はどんな教育・育児が求められていくと思いますか?

これからは親や先生、あるいは学校に言われた通り、教えられた通りにしておけば、すべて上手く行くという時代ではなくなってきていると思うんですよね。
未来に対して「大体こうなっていきますよ」という道筋がはっきりしているからこそ、ある程度「この型でやっていけばうまく行きますよ」というのが役に立つ。計画通りに上手く行くというのは、みんなが型どおりに動いてくれてこそ初めて成り立つわけです。

でも、今の時代はインターネットがあって、外国とも簡単につながることもできて、みんなが自由に動き回るのを抑制できない。
そんな不確実な時代だと、親が型を用意してあげて、「この通りしておけば上手く行くよ」という安定を準備してあげることはできないんです。

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出典 : stocksnap.io

例えていうのならば、いくら高い立派な補助輪付きの自転車を与えても、子供たちに安定や安全を用意してあげることはできない。
どちらかというと、子供たち自身が自分で自転車に乗り、体の感覚などを確かめながら走り続けるということこそが安定につながる。
「あなたの体の反応・感覚を信じて自転車をこいでいきなさいよ」という育児になっていく。

子供たちがそういう自分の感覚をキャッチする力、自分自身の体や心の感覚と繋がる力を身に着けていくことをサポートしていくような教育・育児が、今後は求められていくのだと思います。

■「正直に関わる、常識でしばらない」

ー田原さんご自身がお子さんとの関わり方で気をつけていることはありますか?

まず、正直に関わるということですね。
ついつい親として虚像を見せたくなるときがあるんです。「親はこうあるべき」という姿を見せたくなってしまいます。
ですが、できるだけありのままの自分で関わる、なにが起きているかを正直に伝えています。

例えば、ちょっとカッと来て怒ってしまったあと「ちょっとイライラして、怒ってしまった。ごめんね」と謝ったりします。
あるいは子供が私よりも何かが上手にできたりして、プライドが傷つく瞬間もあるんです。
「え?こんなのもできないの?」と言われてムカっとくる(笑)。
そういう時は、正直に「やっぱりお父さんは大人だから、そういう風に言われると”ムカ”っとくる」と伝えたりもします。
そうすると、子供もなにが起きているかをきちんと理解して、接し方を自然と学んでくれるんです。

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出典 : stocksnap.io

もう一点は、常識でしばらないということですかね。
「こうと決まっている」「こうあるべき」というのをあまり持たないようにしています。
例えば、日本の教育現場だと、まだ習っていないことは書いてはいけないというルールがあったりするんです。

うちの子供がまだ保育園に行っている時、ある日泣きながら帰ってきた。
話を聞くと、自分で本を読んで覚えた漢字を楽しくなって保育園で一生懸命書いていたら、先生に「まだ漢字を書いてはダメ」と言われて悲しくて泣いているのだというんです。

それで先生に話に行きました。子供が好奇心をもってやっていることに対してそういう風に言ったら、子供の芽がつまれる。
根拠ない理由でそういうこと言うのはどういうことなんですか?!と(笑)
日々のそういうことが、一個一個子供たちにブレーキをかけていく気がするんです。

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出典 : stocksnap.io

そうは言っても、すべては自由にやらせられないんだけれども、そこを可能な限り、こういう風にやることに決まっているという「常識」に対して、「ホントにそうと決まってるの?」と疑いながらやっていくことにしています。

■「50%・50%がちょうどいい」

ー好きなことを自由に思いっきりやらせたいという想いと、でもこれは学んでほしいというはざまにいる親御さんも多いのではないかと思うのですが?

これまでの経験から、育児も型にはめる部分が50%くらいありつつ、そこから派生して生まれて行く創造的な部分を50%確保していくというのが、一番イキイキしてバランスよくいくんじゃないかな?と感じています
子供の暴走に付き合いながら、ある程度決まったこともやらせる。
子供が思いつくことというのは、結局その子の見えている範囲からしか起こらないわけです。でも、実際は子供たちに見えていない範囲・世界の方が圧倒的に多い。

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出典 : stocksnap.io

なので、そういった知識や経験が型として用意した部分、体系化して学ぶ部分として用意した50%からボンっと入ってくることによって、子供たちの視野が広がる。
かといって、全部が型にはめて、これを学んで、これをやって・・・だと子供の創造的な部分が死んでします。
なので、新しい知識が入ってきて、じゃあこんなことやってみたい!と呼吸していくような感じで子供たちの創造的な部分がどんどん生まれてくる状態がヘルシーだと思うんです。

■「世界は広い」をまず知ること

ー親の「あり方」として、なにかアドバイスはありますか?

「世界は広い」ってことをまず親自身が知ることですかね。
子供は生きている世界がどうしても狭いから、苦しくなってしまう。
本当は苦しみながら今いる場所で生きていかなくても、外側にはもっと広い世界があって、そことつながっていけば、子供たちが自分自身のままで生きていける場所がある。

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学校に行かない、というと、日本では「不登校」なんて呼ばれることがありますが、世界では「ホームスクーリング」や学校に行かないで大人になる人なんて山ほどいる。
それを親自身が知らなかったり、学校に行かないと「レ―ルをはみ出す」というような捉え方をしていると、子供たちは苦しいときでも学校に行き続けて、もっとつらくなっちゃう。
周りの大人が視野を広げてあげるとか、大人自身が視野を広げるとか、「世界は広いんだ」ということをまず知ってほしいと思います。

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出典 : stocksnap.io

また、親が変わっていくことが、子供に与えるインパクトがすごく大きい。
変容は変容を促すんですよね。
一番身近な親が、ずっとこうやっていたのに、ああでも自分は間違っていたかもしれない。自分の見える範囲を広げて、こうしようと思うというあり方が変わったら、その影響って子供にものすごく伝わります。だからこそ、子供の変容がすごく促される。

子供を変えようとしても変わらないけど、親自身のありかたが変わっていくと、ふるまい方が代わり、自然と子供の環境が変わっていく。
そして子供自身も変わっていくんです。

■「子育てに正解はない」

ー最後に、子育てしている親世代に一言お願いします!

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子育てに正解はない!
「正解がある」って思うと、親自身が自分の心や体の感覚とのつながりではなく、「正しいこと」「正解とされていること」をしようとしてしまいます。
正解がもしあるとしたら、親が自分自身とつながっていること自体が正解なので、その結果出てくることは1人1人それぞれ違うはずです。ということは、実はみんなで共有される正解はない。親自身が自分と繋がっていることが正解なんじゃないかな、と思います。

ーありがとうございました。

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出典 : stocksnap.io

インタビューを終えてみて、あらためて自分自身が大きな「認知」をもらったように感じています。育児をしていると「本当にこれでよかったのだろうか?」「間違っていないだろうか?」と自分に問う場面が必ず現れてきます。その中でも他の人の「視点」や「正解」ではなく、最後は親である私自身の感覚が「Yes!」と言っているものを選んでいくことが正解なのだ、と改めて考えさせられました。自分自身の感覚で判断しているか?他の人の視点や価値基準で判断していないか?を常に問うて行きたいと思います。

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