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「息子よ。そのままで、いい。」自閉症の子どもを持つ父親の綴る詩に心が救われる

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「障害者なんていなくなればいい」この衝撃的な言葉を覚えている方がどのくらい居るのか?相模原市で起きた障害者殺傷事件の犯人の言葉です。この事件を受け自閉症の息子さんを持つ神戸金史さんが父親としての想いをFacebookに投稿。大きな反響を呼びTBS系列のニュース番組『NEWS23』でも取り上げられ世界中に拡散されました。
バンビ
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2016年7月日本中の人が我が目を疑った相模原殺傷事件。19人が殺害され、27人が負傷。そして犯人の「障害者なんていなくなればいい」という発言に言葉を失った人も多いと思います。繰り返される報道の中、ある男性の詩が大きな注目を集めました。この男性は、神戸金史(カンベネブミ)さん。自閉症の息子さんを持つ父親です。

この事件を受け神戸さんは『容疑者の憎悪が自分の子供に向けられたように感じ、深く傷つきました。』と語っています。神戸さんだけではない、障がいを持つご家族の方々の胸に深く暗い傷をつけました。そんな中、神戸さんが綴った息子への想いは怒りではなく受け入れること、そして、感謝の言葉でした。今回は神戸さんの詩をみなさんにご紹介させて頂きます。

【障害を持つ息子へ】 私は、思うのです。 長男が、もし障害をもっていなければ。 あなたはもっと、普通の生活を送れていたかもしれないと。 私は、考えてしまうのです。 長男が、もし障害をもっていなければ。 私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと。 何度も夢を見ました。 「お父さん、朝だよ、起きてよ」 長男が私を揺り起こしに来るのです。 「ほら、障害なんてなかったろ。心配しすぎなんだよ」 夢の中で、私は妻に話しかけます。 そして目が覚めると、 いつもの通りの朝なのです。 言葉のしゃべれない長男が、騒いでいます。 何と言っているのか、私には分かりません。 ああ。 またこんな夢を見てしまった。 ああ。 ごめんね。 幼い次男は、「お兄ちゃんはしゃべれないんだよ」と言います。 いずれ「お前の兄ちゃんは馬鹿だ」と言われ、泣くんだろう。 想像すると、私は朝食が喉を通らなくなります。 そんな朝を何度も過ごして、突然気が付いたのです。 弟よ、お前は人にいじめられるかもしれないが、 人をいじめる人にはならないだろう。 生まれた時から、障害のある兄ちゃんがいた。 お前の人格は、この兄ちゃんがいた環境で形作られたのだ。 お前は優しい、いい男に育つだろう。 それから、私ははたと気付いたのです。 あなたが生まれたことで、 私たち夫婦は悩み考え、 それまでとは違う人生を生きてきた。 親である私たちでさえ、 あなたが生まれなかったら、 今の私たちではないのだね。 ああ、息子よ。 誰もが、健常で生きることはできない。 誰かが、障害を持って生きていかなければならない。 なぜ、今まで気づかなかったのだろう。 私の周りにだって、 生まれる前に息絶えた子が、いたはずだ。 生まれた時から重い障害のある子が、いたはずだ。 交通事故に遭って、車いすで暮らす小学生が、 雷に遭って、寝たきりになった中学生が、 おかしなワクチン注射を受け、普通に暮らせなくなった高校生が、 嘱望されていたのに突然の病に倒れた大人が、 実は私の周りには、いたはずだ。 私は、運よく生きてきただけだった。 それは、誰かが背負ってくれたからだったのだ。 息子よ。 君は、弟の代わりに、 同級生の代わりに、 私の代わりに、 障害を持って生まれてきた。 老いて寝たきりになる人は、たくさんいる。 事故で、唐突に人生を終わる人もいる。 人生の最後は誰も動けなくなる。 誰もが、次第に障害を負いながら 生きていくのだね。 息子よ。 あなたが指し示していたのは、私自身のことだった。 息子よ。 そのままで、いい。 それで、うちの子。 それが、うちの子。 あなたが生まれてきてくれてよかった。 私はそう思っている。 父より
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出典 : www.flickr.com

障がいを持つご家族の"普通"は健常者の"普通"とは違う。人の目に触れる時その違いを痛感させられる。実は、筆者の妹も障がいを持っています。ある日、突然障がい者になりました。前日まで元気に仕事に行っていた妹は、たった一晩で人生が180℃変わったのです。あからさまに見られる時、不憫そうな顔をされる時、「普通じゃない」と思う瞬間。あからさまに見られることも正直、構わないんです。他の方は不快になるかもしれませんが、私たちは気にしません。ただ、知って頂きたい事は誰しも同じリスクを背負っているということ。今日元気でも、明日のことは分からない。そして、神戸さんの詩にもありますが、誰しも年老いていく、あちこちに不調をきたす…誰もが同じ道を辿ると思うのです。

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出典 : stocksnap.io

「障がい者はいなくなればいい」この言葉を筆者は今でも理解できません。弱者を攻撃して何になるのか?そのような人を生み出してしまった背景に何があったのか?ただ、知ったとしても理解できないと思います。

神戸さんの言う通り多くの障がい者を持つ家族は「障がいがなければ」と考えることはあると思います。障がいさえなければもっと自由にもっと普通に、もっともっと…と考えるのではないでしょうか。そして思うのです、"普通"ってなんだろうと。あるがままでいる、それだけではダメなのでしょうか。神戸さんは「それでいい」と言ってくれた。神戸さんの言葉は、相模原の事件で不安と恐怖の中にいる多くの人々の心をも救ってくれたのではないでしょうか。

神戸さんの詩は英語、中国語にも翻訳され世界中に拡散されました。そして、書籍にもなり今でも大きな話題になっています。神戸さんの本「障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~」を読んだ方々のレビューをご紹介させて頂きます。

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知的障害を持つ息子がおります。 神戸さんの詩をフェイスブックで読み、自分の体験や気持ちは、自分だけではないんだということを知りました。 その後「うちの子」のドキュメンタリー放送を見て、さらに想いを強くして、本作を購入しました。 一気に読みきってしまいました。 ドキュメンタリーの裏側の話や、取材時の想いを興味深く読みました。 また、弟さんと奥さんからのメッセージは、読んでいて自然と涙が溢れました。 うちにも障害を持つ子の兄がいます。彼も毎日、いろいろなことを感じながら生活していると思います。 神戸さんの家と同じように、暖かな家庭を築きたいと改めて想いを強くしました。
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相模原の事件は、障がいをもつみなさんとそのご家族に、大きな衝撃と悲しみを与えましたが、強く優しく包んでくれるような文章に、障がい者の父親である私も救われました。いなくなればいい障がい者なんてひとりもいません。
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私の弟も脳に障害があります。 満足に会話できませんし夜中に喚いたりすることがあります。 そんな弟をみて兄弟などいなければ、もしくは普通の人間だったらと思いました。 この本の中で筆者も同じように障害のない息子を夢に見たりして どんなに言葉で美化してもみんな同じなんだなと少しホッとしました。 それでも最後に障害をもったままでいい、生まれてきてくれてよかったという言葉に 親の持つ強さと子供への深い愛情を感じました。
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神戸さんの詩は「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(2016年11月22日放送)でも紹介されました。声を詰まらせながらこの詩を朗読した大竹さんは「社会が、みんなで共存共栄していくっていうのは、それは人間が知性を持って生まれたことの証ですよね」と仰いました。「障がい者は社会の役に立たない」という人が存在するのは事実です。知性の欠片も感じない考え方。「社会の役に立てば人間としての価値があるのか?」それは違う。人の価値はそんなもので計れることではありません。

確かに、健常者と障がい者は違います。更に、障がいがあってもなくても人を理解することは難しい、けれど、障がい者に対する誤解や偏見は取り除いていかなければいけないと思うのです。この際受け入れ、大竹さんの言葉の通り共存共栄していかなければならない。そういう社会を、そういう未来を、私達は作っていかなければならないと思いませんか?

障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ 単行本(ソフトカバー) –

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